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「うちは中小企業だから、新卒採用をしても、優秀な人材が集まらない。」
「新卒は育成するのも大変だし、コストも掛かるから出来ない」
中小企業の経営者の中には、新卒採用をネガティブに思っている方が少なくないです。
しかし、中小企業であっても、新卒採用はデメリットばかりではありません。
【新卒一括採用システム】が活用できることや【社風に合わせた人材育成】がしやすいなど、
考え方を変えるとメリットだらけです。
今回は、弊社代表の山地が執筆し2015年に発売した本「会社を強くする多角化経営の実践」
の一部を引用して、ご紹介いたします。
ヤマチユナイテッド代表山地 章夫の書籍はこちら
新卒採用のメリット
ここからは新卒採用のメリットについて3つのポイントに分けてお話します。
■Point
- 新卒一括採用はメリットだらけ
- 社風に合う人材を育成
- 会社が勝手に進化する
新卒一括採用はメリットだらけ
新卒社員を一括で採用する日本独自のシステムは、昨今デメリットが指摘される一方、企業にとってはとても合理的です。
同じ時期に複数の社員を一括で採用出来き、同じタイミングで新人教育を施せる大きなメリットがあります。
逆に中途採用の場合、個別対応になってしまうので、社員教育や価値観の伝承が不十分になります。
また、新卒社員の同期達は、同じ年齢・時期に社会人としてのスタートラインに立つので
交流や絆が生まれやすくなり、定着率が高まる傾向があります。
社風に合う人材を育成
社会に出て初めて働く企業は、学生が自分で決めた初めての職場です。
その分、会社に対する思い入れが非常に強くなります。
新卒採用は社風に合うキャラクターの人材を選ぶことができ、社風に溶け込ませるのも難しくありません。
中途採用の場合、すでに前の職場で身についた価値観や仕事のやり方があるので、社風に合う人材が入ってくるとは限りません。
経営者から全て指示が下りてくるトップダウン型の会社で働いてきた人にとってはジョンソンホームズのように、社員それぞれが意見を出して、物事を決めていく働き方になじめない事態も考えられます。
会社が勝手に進化する
新卒採用をすると、色々な面で会社が良くなります。
会社や社員の意識が高まり、「新卒採用するからには、優秀な新卒が入ってきてくれるような会社に変えよう」という目標が出来ます。
残業の多い会社では、新人が定着しにくいので、「効率的に仕事をして、残業を減らそう」という取組が生まれるかもしれません。
また、会社の環境整備の面でもメリットがあります。新卒社員を採用すると、いい意味で外からの目が気になります。
面接で学生が会社にやってくることになれば、職場を整理整頓したり、玄関やトイレをきれいに改装したりといった行動に繋がります。「トイレが汚い会社で働きたくない」と思われたら、採用するうえでマイナスになってしまいます。
さらに、小さい会社だと就業規則等がきちんと整備・運用されていないというケースもありますが、新卒採用をすればいやが応でも就業規則をはじめ、会社のルールを整備する必要があります。
このように、新卒採用をすることによって、「まっとうな会社」へと進化させることが出来ます。
新卒採用を成功させるポイント
「優秀な人材は大手に流れてしまう」とあきらめている経営者は多いかもしれませんが、
トップの意識や採用活動の取り組み方次第で、大企業に負けないくらい優秀な人材を得ることが出来ます。ここでは、新卒採用を成功させるポイントをご紹介します。
■Point
- 新卒採用は創業して早い段階で始め、継続する
- トップ自らビジョンを語る
- 新卒採用を全社イベントにする
- 合同会社説明会を活用する
新卒採用は創業して早い段階で始め、継続する
先ほど述べたように、新卒採用には「まっとうな会社」へ進化させる効果があります。
さらなる成長を遂げるためにも、早い段階から新卒採用を始めることを決断しましょう。
事業環境によっては新卒を採用するのが苦しい時期もあるかもしれませんが、
出来る限り毎年1人、2人ずつでもかまわないので、新卒を採用することをお勧めします。
毎年後輩が増えていくことで、先輩の成長に繋がるからです。
トップ自らビジョンを語る
社長は会社説明会には出来るかぎり参加して、自ら会社のビジョンを学生に語らなければなりません。
中小企業の場合、大企業に比べて知名度や安定度などの面で不利なのは事実です。
それでも「この会社で働きたい!」と思ってもらうには、社長がビジョンを語るのが学生の心に最も響きます。
学生の中には、経営者に共感して応募してくる人が意外と多いので、社長自身に興味を持ってもらえるようなメッセージを発信することがとても大切です。
新卒採用を全社イベントにする
ヤマチユナイテッドでは、新卒採用を大切な全社イベントと位置付けて、
毎年「採用プロジェクト」を組織して、入社1~3年目の若手社員を中心に
約30名をプロジェクトメンバーとして指名しています。
その他の社員も面接やイベントに参加して、自身の仕事や事業部について
学生に講演してもらったり、実際に面接官を担当してもらったり、
毎年50名以上のスタッフが採用に携わっています。
私も8年前にヤマチユナイテッドの面接を受けた時、若手の社員が説明会で講演したり
ベテラン社員と組んで面接官をやっていました、
その時の面接官が現在私の直属の上司だったりします。
また、実際に入社してから1年間は新卒研修を受けながら、配属事業部の仕事を学び、
リクルーターとして会社や事業部の説明会を行ったり、
採用試験のグループディスカッションで試験官をやったりもしました。
その中で、一緒に働きたい人を探したり、みんなが入ってくる前に
自分はどれだけ成長できるかを必死に考えるいいきっかけになりました。
合同会社説明会を活用する
中小企業が新卒採用をする際に、一番ネックとなるのは、やはり知名度でしょう。
「うちが募集しても誰も見向きもしてくれない」とあきらめている経営者もいるかもしれません。
そのような場合は、合同会社説明会に参加するといいでしょう。
多くの企業が集まる説明会であれば、集客がそれなりにできます。
当社も、合同会社説明会を学生と接点を持つための大切な場ととらえています。
あとは、いかに会場に集まっている学生に、自社をアピールし自社の単独説明会に誘導できるかに掛かっています。
説明会ブースに来てくれた方にプレゼントを渡したり、会社のマスコットキャラクターの着ぐるみを動員したりあらゆる手を尽くして、学生を自社のブースに誘導しました。
まずは自社の魅力を知ってもらわなければどうしよもないので、出来る事はなんでもやるべきです。
合同会社説明会に参加するなど、学生に魅力を伝える場に出続けると人件費や参加費などそれなりにコストが掛かります。
しかし、新卒採用をして将来、会社の核となる幹部候補を採用出来れば、投資対効果は悪くありません。
1人あたり50~100万円掛けるだけの効果は必ずあるはずです。
採用活動が軌道に乗ってくると1人あたりのコストは低くなっていきます。
なお、中小企業の採用戦略についてはこちらのコラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
ノウハウや経験のある中途入社社員は重要な戦力です。私たちの会社でも、
新規事業の内容に合わせて、経験者を数多く採用しています。
中途社員から幹部に成長した社員もたくさんいます。
しかし、最初は力のない新卒でも環境次第で中途入社社員よりなぜか早く育ちます。
新卒採用を積極的に行って、自分たちの手で育てていくことを検討しては如何でしょうか。
教育のやり方次第で、いずれ強力な経営幹部が育ってくるはずです。
新卒社員の育て方
新卒採用の後は、入社した社員の育て方です。ぜひご覧ください。
■新卒育成のコラム
・~新人定着のためにできることとは?~人が辞めない住宅会社運営
・新卒の新入社員を1年で一人前に育てる「フレッシャーズキャンプ」
・内定者研修の目的。同期の結束力が高まる内定者研修のポイント