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住宅業界は着工が忙しい月や集客・営業が忙しい月がはっきりしており、マンパワーに頼りがちになってしまいます。
年間を通して業務の平準化がしにくいため、安易に人員を増やすことも中々難しい状況です。
毎月安定した受注、着工が出来ると業務の平準化が進み、資金繰りも安定するので工務店経営が楽になります。
安定した受注・着工には、毎月の安定した集客が必須です。
今回は、計画的かつ安定した集客が実現できる1つの方法として、移動式モデルハウスについてご説明いたします。
移動式モデルハウスとは?
住宅を購入を検討するお客様はほぼ100%実際の住宅をみて、購入を検討するため、住宅会社は常に見せられる物件を用意する必要があります。
移動式モデルハウスは、総展の常設展示場と違い、自社コンセプトを体現した建売物件を用意して、集客装置にする方法です。
従来のお施主様の物件を使った見学会とは別に、自社で計画的に販促が出来るよう建売物件を用意するため、年間を通して計画的かつ安定した集客が可能になります。また総展への出展と違い大手ハウスメーカーでなくとも、運用が出来るため、地域の工務店には非常にメリットのある集客装置を確保する手法です。
お施主様物件の見学会と移動式モデルハウスには、善し悪しがあります。
以下にそれぞれの特徴を記載致します。
お施主様物件の見学会
お施主様物件の見学会のみの開催で集客をする場合、以下の3点の問題に突き当たることがあります。
- 常に見学会が出来る物件を確保出来るほどの受注件数がない。
- お施主様の趣向を取り入れすぎたため、自社のコンセプトに完全一致した住宅にならなかった。
- 見学会利用の了承が取れなかった、直前になって拒否されてしまった。
完工時期の関係で、イベント開催の時期が不安定になると、集客も不安定になり、結果として受注、完工が集中する時期が出てきます。
お施主様付の物件は、お施主様の要望を取り入れた建物になるため予算や趣向の関係でどうしても標準仕様から外れてしまったり、工務店がポリシーとして掲げている仕様・間取りにならないこともあります。そういった物件で見学会を開いてしまうと、どんどん自社の目指す住宅からかけ離れていきます。
その他、営業マンが「見学会物件として使わせてほしい」と言えず開催出来なかったり、最近ではコロナの影響で自宅に他人を入れたくない方が増えてきており、お施主様の物件に頼った見学会自体が出来ないという例も出てきました。
メリットとしては、お施主様の物件をお借りするため、工務店側の出費やリスクが大きく抑えられる点、実際に住む人がいる現実感のある物件を公開することが出来る点です。
お施主様の物件を公開することは、決して集客に悪い影響を及ぼすものではないため、開催できるのであれば積極的に見学会物件として活用できるよう良好な関係を築いていきましょう。
移動式モデルハウスのメリット
移動式モデルハウスには以下のメリットがあります。
- 受注安定化
- 自社商品ブランディング
- 業務平準化
受注の安定化
社内で予め計画した時期にモデルハウス公開を行なうため、受注物件に依らない年間の集客、販促計画が立てやすくなります。常に見せられる物件があると、年間を通して安定した集客が実現するため月毎の受注計画が立てやすくなり、会社の資金繰りの安定や決算数字が読みやすくなるなど、経営安定化に繋がります。
自社商品ブランディング
お施主様の物件と違い、土地選定、間取り、構造、仕様全てを選定出来るため、自社のポリシーにあった物件をお客様に公開出来ます。自社が伝えたい家づくりをストレートにお客様に伝えることが出来るため、ブランディングがしやすく、お客様にの伝わりやすくなります。
業務の平準化
安定した受注計画が組めるため、月毎の業務集中が緩和されるようになります。お客様物件の見学会だけの場合、完工物件が見られる時期に契約が集中し、営業、設計が疲弊します。そこから遅れて着工物件が重なるため次は工務に業務が集中し疲弊します。業務の集中、疲弊はミス・クレームや離職に直結しますので、移動式モデルハウスを活用した業務の平準化は組織、会社を良くしていくために効果的な戦略ではないでしょうか。
移動式モデルハウス成功のポイント
ここまで、メリットを説明してきた移動式モデルハウスですが、いくつかのポイントを押さえないと上手くいかず、失敗に終わることがあります。
- 売却時の価格設定
- 集客のしやすさと売りやすさ
- 売却時期
売却時の価格設定
移動式モデルハウスは建売物件と違い、単体の売却で利益を求めるモノではありません。
あくまで集客装置として販売時に赤字にならない程度の価格設定を行なうようにしましょう。
ここを間違えてしまうと、集客はできたけど売却が上手く行かず、次の移動式モデルハウスの計画が頓挫してしまいます。
集客のしやすさと売りやすさ
移動式モデルハウスの一番の目的は集客です。集客が出来る立地を最優先に選択しましょう。ただし集客出来るからという理由で、都心や駅前の好立地すぎる場所を選んでしまうと、土地価格が上乗せされ販売価格が高騰します。
集客しやすくて売りやすい土地は新規の大規模譲地や大型ショッピングモールの付近です。移動式モデルハウスの効果的な運用は立地が勝負なので、選定には徹底して労力を割きましょう。
売却時期
建売物件をモデルハウスとして使うのだから、しっかり集客してから販売を開始しよう!というのはダメです。
集客と並行して着工時から販売を掛けていきましょう。理想としては完工から見学会~3ヵ月程度までに客付けを完了しているとスムーズに次の物件の仕込みに入ることが出来ます。
もし、移動式モデルハウスが早期に販売出来ない場合、資金繰りのため新たな移動式モデルハウスの計画が難しくなっていきますので売却時期を考えて集客計画と共に販売計画も立てて運用しましょう。
移動式モデルハウスはただ建物を立てて集客をすれば成功するものではありません。
地域特性(商圏内の競合、総展の数、分譲地の立地や価格、通勤手段...etc)を的確に分析し、適切な地域に最適な仕様の物件を立てて販促していく必要があります。
今回記載した3つは大まかなポイントに過ぎませんので、自社で実施する際はその他の地域特性についても十分に検討して実施しましょう。
まとめ
移動式モデルハウスを効果的に自社で運用出来るようになると、年間を通して安定した受注が生まれるようになります。そうすることで、資金繰りが安定し、決算が読みやすくなったり、スタッフの業務が平準化されるため離職率が低下します。
さらに、自社の家づくりのポリシーを体現したモデルハウスでお客様に伝えることが出来るため、商品、企業認知がされやすくなり、自社ブランディングに繋がっていきます。
しかし、移動式モデルハウスを効果的に運用し続けるためには、地域特性の把握や近隣に建っている建売物件や競合の分析、集客計画やマーケティングなど、家を立てる住宅会社とは関係のないスキルを高度な領域で要求されます。
ジョンソンパートナーズでは、前述した移動式モデルハウス成功のポイントについて、専任の営業担当、マーケティング担当が付きますので、他フランチャイズのような全国統一ではない加盟店様毎、地域ごとに合わせた支援を超密着で行なっております。
自社で移動式モデルハウスを効果的に運用していきたい、資金繰りや経営を安定化させたい、業務の平準化で離職率を下げたいと思っている住宅会社の経営者様はぜひ一度住宅フランチャイズジョンソンパートナーズへご相談ください。