「社長が家を売るのをやめる」と会社は大きくなる

売れる仕組み
2022年01月19日 by 川田 新平

目次

こんにちは、ジョンソンホームズの川田です。

年間20棟前後からなかなか棟数が伸びないという工務店は多いように思います。

棟数、売上の伸びが止まり悩んでいるとしたら、それはすでに今までのやり方、経営トップ(社長)自身のあり方では通用しない状態だといえるかもしれません。

伸びが止まる原因はトップにあると私は断言します。

会社を新しい次のステージへ移行しなければ、会社の成長は停止する。

経営者の方は、この視点が抜け落ちがちかもしれません。

そのステージチェンジのためには、トップが自分自身の意識を変え、役割(仕事)を変えていく必要があります。

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20棟台から伸ばすための打ち手とは

ジョンソンホームズはマルチブランド戦略をとり、年間300棟規模で活動しています。

従業員数は約350人です。※リフォーム、インテリアショップ、飲食、フランチャイズのスタッフも含む

私が会社の指揮を任された2001年当時、創業ブランドである北米輸入住宅の受注棟数は20棟台。

低迷期で規模縮小により社員8人の組織でした。

そこから段階的にステージを移してきて、現在に至ります。

一般的に住宅会社の売上別の成長ステージというのは、4段階に分けられているようです。

  • [ステージ1]3億円/15〜20棟/社員5〜6名
  • [ステージ2]10億円/50〜60棟/社員20〜30名
  • [ステージ3]30億円/100〜200棟/社員50〜80名
  • [ステージ4]50億円/200〜500棟/社員80〜200名

ステージ1は、経営トップが自分で売っている、よくいわれる"家業"の域だと思います。

現在20棟台で、棟数、売上を伸ばしたいと望む場合、経営トップは何をすればいいのでしょうか。

私は次のように考えます。

  • 自分が売っているなら売ることをやめるべき

営業や現場をまわす先頭に立つのではく、トップにしかできない仕事をやる

  • 売っていないなら次は自社に何が必要かを考える

例)地域に愛されるためのブランディングに取り組んでみる

  • 部下に仕事を譲っていく

自分だけの価値観にとらわれない

成長ステージに応じた思考・マネジメントの必要性
~ジョンソンホームズ成長の事例から~

ジョンソンホームズの事例からですが、20棟台から、50棟、100棟台へ棟数を伸ばした時期、私が何をやっていたかについて少しお伝えしたいと思います。

北米輸入住宅を販売する営業マンだった私は2001年、マネージャーを任されました。前年24棟、社員は8名でした。

●プレイングマネージャー時代

当時のジョンソンホームズはすべてにおいて、グループ企業に依存した"お荷物会社"でした。

「ダメならジョンソンやめるかも」なところからスタートし、どうせダメなら自分たちの好きなようにやろうと決めました。

組織として「社員みんなで考える」ことを大事にし、この時期に社風の基礎が完成しました。

ブランドは輸入住宅「インターデコハウス」1本。私自身11棟売り、30棟台に。

●マーケッター時代

50〜60棟台になりました。本を読みまくり、セミナーに出まくっていました。

チーム制を導入し、また、集客・育成・セールス・アフターに関する仕組みづくりに取り組みます。

この時期、セクショナリズムが起こり、社員はバラバラ。

一人ですべてを取り仕切っていた私はというと、充実感たっぷりでした。

しかし、儲かっていませんでした。

インテリア事業をスタートすることになったため、権限委譲を決めました。

●ブランドプロデューサー時代

90〜100棟台になりました。

インテリア事業と連動する住宅ブランドや、自然素材の家「ナチュリエ」などが誕生。

ブランド構築の楽しさを味わいました。

各ブランドを一つの会社のように運営し始めたのがこの時期です。

100棟を超えてからいろいろとほころびが出始め、私一人ではコントロールできないことが増えていきました。

また、権限委譲、人材育成に失敗し、組織的大混乱を起こすことに。

さらに、リーマンショックの影響から初の赤字を出し、一から出直すことになりました。

鳴かず飛ばずだった当社が50棟までいったのは、マーケティング思考になったこと、100棟までいったのは、ブランディング思考になったりプロデューサーになったりと、私自身が意図的に自分の役割を変えてきたことが関係していると考えています。

赤字後、起こっていることのすべては自分のせいだと考え、さまざまな会社を見て学びました。

自分たちはなんのために存在するのか、何を大切にするのか、どうひとつになるのか。

つくった「いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します。」というミッションは、「良い会社をつくる」ということと共に、決してぶらさないジョンソンホームズの経営目的となっています。

また、大きな転機となったのは、2009年の規格住宅「COZY」の導入です。

輸入住宅を手がけ、ゼロからプランを描いて作品のような家をつくり上げることに一生懸命だった当時の当社の価値観ではあり得ないブランドですが、利益率は高くなり、棟数も増え、大きな成長につながったのです。

付け加えると、100棟までは棟数が伸びているだけで、営業利益はほぼ残っていませんでした。

会社を良くするのは数を売ることだと、とらわれていたのです。

会社というのは、良くなった瞬間から違うものになっていきます。

ジョンソンホームズでは、大企業になろうとするフェーズにおいて、マネジメントや営業の型作り・仕組化を怠っていたことから、"ぬるさ"が営業組織を弱くし、売れる人・売れない人の差も大きく開いていました。

営業改革はすでに終えましたが、成長ステージに応じたマネジメントの必要性と、会社は"生き物"であるということを実感しています。

会社の規模と経営トップが認められる人の量は比例する

成長ステージによって経営トップに求められる役割は違うため、今までのやり方や考え方にとらわれていては、次のステージに行くことは難しいと思います。

消費活動がモノそのものよりコト(経験・体験)に価値が置かれる今の時代、例えばデザイン重視で作品のような家づくりにこだわっているなら、棟数を伸ばすことは容易ではないでしょう。

デザイン性に富んだ作品づくりにこだわる経営トップが「家とはこうあるべき」思考を手放すことは、いわばアイデンティティの8割を捨てるようなものです。

しかし、そこを手放さなければ、ステージチェンジは実現できないと考えます。

私もそうでした。

私はすべてにおいて自分は社員に勝っていると思っていましたが、それはとらわれでしかありませんでした。

成長を見せる部下・社員に対して、自分の力を見せつけたかっただけ。

自分がキレキレの主役であることに満足していた時代がありました(そのあと、主役は社員であるべきだと気づきました)。

ジョンソンホームズが成長できてきた歩みのなかで、自分が大事にしている価値観以外に大事なことは山ほどあることや、人を嫌わない・相手を認めるということが非常に重要であることがわかりました。

会社の規模は経営トップが認められる人の種類の量と比例する、というのは自分にとって大きな気づきとなりました。

もしかすると、経営トップ自身のエゴが会社の成長を妨げているかもしれません。

平坦な道はありませんが、それでも当社が順調といえる感じで成長できてきたのは、トップとして私が自分自身の意識と役割を変えてきたからだと思っています。

参考になれば幸いです。

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