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こんにちは。ジョンソンホームズ金子です。
企業が事業を拡大していくには、顧客体験価値に着目することが重要です。
顧客に価値のあるものを提供することは、企業にとってさまざまなメリットがあり、売上拡大にもつながっていきます。
そこで今回は、顧客体験価値とは何かについて考えていきたいと思います。
顧客体験価値が重要な理由やメリット、向上させる方法を、事例とともにご紹介しますので、ぜひご覧ください。
顧客体験価値とは?重要な理由と背景
顧客体験とは、顧客が企業やブランドとの接点を通じて得る一連の体験を指します。
これには、商品やサービスの検討、購入、利用後のサポートに至るまで、顧客が体験する全てのプロセスが含まれます。
顧客体験は、単なる商品やサービスの提供にとどまらず、顧客が実際にどのように感じ、どのような価値を得たかに焦点を当てています。
そして顧客体験価値とは、商品やサービスそのものに加えて、購入や利用を通じて得られる体験全体の価値を意味します。
顧客が感じる感覚的、感情的、知的、行動的、さらには社会的な価値が含まれ、これらは消費者の満足度やブランドへのロイヤルティに直結。
企業が提供する体験が消費者の期待を超えると、顧客は長期的な関係を築き、企業に対する愛着を深めることにつながります。
顧客体験価値が重要な理由と注目される背景
企業にとって顧客体験価値は非常に重要とされています。
その理由と顧客体験価値が注目される背景について見ていきましょう。
競争優位性の確立と差別化
現代の市場では、商品やサービスの差別化が難しくなっています。
企業は単に商品を提供するだけではなく、顧客に対してパーソナライズされた体験を提供し、一人ひとりのニーズに応えることが求められています。
これにより、顧客体験価値が競争優位を生む重要な要素となるのです。
なお、競争優位性を確立するには、企業のブランディング施策も非常に重要なものに。
詳しくはこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
工務店・住宅会社のブランディングが重要な理由とは?差別化のための施策例も紹介
顧客との感情的つながり
SNSや口コミが発達する中で、顧客の意見がブランドや商品の信頼に直結する重要な要素となっています。
顧客がブランドに対して強い感情的なつながりを持つことで、ロイヤルティや満足度が高まり、企業の成長につながります。
そのため、企業は顧客体験の質を向上させることが必要不可欠です。
デジタル技術による顧客接点の複雑化
デジタル技術の進化により、オンラインとオフラインでの顧客接点が複雑化しています。
企業は、これらすべての接点において一貫した顧客体験を提供し、顧客の期待に応えることが求められています。
データを活用し、顧客の行動に即した体験を提供することが重要です。
消費者の購買行動の変化
以前は商品やサービスの質や価格が主な購買基準でしたが、現在では顧客体験を重要視する方が増えています。
購入前後の体験やスタッフの対応、アフターサポートなどが購買決定に影響を与え、顧客体験価値が企業の成功に大きな影響を与える時代となっています。
顧客体験価値を高めるメリット
顧客体験価値を高めることで、企業にとって多くのメリットが得られます。
顧客ロイヤルティと維持による利益
顧客体験価値が向上すれば、顧客の満足度も高まり、それに伴いロイヤルティが強化されます。
満足した顧客は繰り返しサービスを利用したり購入したりし、その結果、顧客生涯価値の増加に貢献します。
さらに、価格競争に頼ることなく、自社の製品やサービスを選んでもらえるようになるため、価格差に左右されることなく、より多くの支持を得ることができます。
顧客との強い関係性を築ける
マーケティングでよくいわれる「1:5の法則」(ある製品やサービスが1つの良い評価を受けると、5つの悪い評価を受ける可能性があるというもの)によれば、新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍だといわれています。
優れた顧客体験を提供することで、顧客は製品やサービスに対して強い愛着を持ち、競合他社の安価な商品に流れにくくなります。
これにより、顧客獲得にかかるコストが抑えられ、長期的な関係を築くことができます。
口コミと評判を活用した新規顧客獲得
顧客が提供された体験に満足すれば、その感動を周囲と共有したいと感じます。
口コミが新たな顧客を引き寄せ、ブランドの認知度や信頼度を高め、結果として企業の社会的な評価を向上させる効果があります。
顧客ニーズを捉えた差別化戦略
顧客体験を向上させるためには、顧客のニーズや期待を正確に理解し、それに基づいた商品やサービスを提供する必要があります。
このような取り組みを通じて、企業は他社との競争において優位性を確立し、競争が激化する市場で差別化を果たすことができます。
ブランド価値の向上と革新の促進
顧客に良質な体験を提供することは、ブランドのイメージにも大きな影響を与えます。
さらに、顧客の意見やフィードバックを活用することで、製品やサービスの改善や革新のアイデアが得られます。
このように、顧客体験価値の向上が、企業の成長や革新に寄与する重要な要素となるのです。
顧客体験価値を向上させる方法とポイント
では、顧客体験価値を向上させるにはどうすれば良いのでしょうか。
向上させる方法とポイント、そして住宅会社であるジョンソンホームズが考える、住宅会社が顧客体験価値を高める方法についても具体的にご紹介します。
顧客体験価値を向上させるためのポイント
顧客体験価値を高めるためには、明確な方針と段階的なアプローチが不可欠です。
向上させる方法と重要なポイントを見ていきましょう。
業務プロセスと課題の把握
顧客体験価値を向上させるためには、まず自社の業務フローや課題を洗い出すことが重要です。
個別のマーケティング戦略に取り組む前に、現行の業務プロセスを理解し、どこに改善の余地があるかを明確にすることが必要不可欠。
こうすることで、企業全体の方針と一致した戦略が立てやすくなります。
データ活用基盤の整備
顧客体験を向上させるには、データに基づく意思決定が不可欠です。
顧客行動を正確に分析するためには、企業全体で顧客情報を統合し、活用できるデータ基盤を構築する必要があります。
特に、顧客情報の「ID統合」や、顧客データを一元管理する「CDP(顧客データプラットフォーム)」の導入が効果的です。
また、リアルな接点とデジタルデータを統合して扱う体制を整えることが今後ますます重要になります。
顧客データの同意管理
顧客体験価値を高めるためには、顧客のデータを活用することが不可欠ですが、そのデータの取り扱いには十分な注意が必要です。
顧客が自分のデータをどのように利用するかについて、明確に同意を得る仕組みを確立することが重要。
不適切なデータ利用を避けるために、同意を管理するシステムを早い段階で整えることをおすすめします。
顧客体験の課題を特定・改善
顧客の体験を向上させるためには、顧客が商品やサービスに接する過程を詳細に分析し、どこに課題があるかを明確にしましょう。
カスタマージャーニーを描き、顧客の行動や感情の変化を追いながら、現状の問題点を洗い出します。
それを基に、具体的な改善策を立案し、施策を実行していきます。
施策実施後には必ずその効果を検証し、必要に応じて再度調整を行いながら、体験価値をさらに向上させていきます。
組織全体での協力体制を構築
顧客体験の向上は、商品やサービスそのものの価値だけでなく、企業全体の取り組みにかかっています。
例えば、製品の品質は優れていても、梱包やアフターサービスに問題があれば、顧客体験は大きく損なわれます。
そのため、すべての部門が協力して、顧客視点を意識した取り組みを進める必要があります。
会社全体で一貫した高いレベルの顧客体験を提供できるようにすることが、顧客満足度の向上につながります。
住宅会社が顧客体験価値を向上させる方法
住宅会社であるジョンソンホームズが考える、住宅会社が顧客体験価値を高める方法についてお話ししていきたいと思います。
みなさんは、自分の商品に愛情を持っていますか。
自社の家を愛しすぎて、こだわりを押しつけるのは良くないけれど、愛情がないようでは、お客さまはその家をほしいと思わないでしょう。
住宅業界では、自分の家を建てた社員の営業成績が良いという傾向が見られます。
施主としての経験が自信となり、お客さまの心に響く営業ができるようになるのです。
実際に家を建てていなくても、生活者として住まいへの思いは必ずあるはずです。
「自分たちもユーザーである」という立場で、注文住宅を捉え直してみるのが顧客体験価値の向上の第一歩だと考えています。
世の中にまだないものを体験をとおして価値観を共有する
住宅は、世の中にはまだないものを売ることにほかなりません。
自分の扱う商品をとことん好きになって、お客さまにその価値を伝えることの大切さがわかるのではないでしょうか。
当社では、家を建てたいと考えている人たちを、オーナーさまの家にお連れしています。
そこでの暮らしぶりを目の当たりにし、家が建つまでのストーリーを聞くことができる時間をつくっているのです。
1時間ほど同じ時間を過ごすことで、家に興味を持ってくださったお客さまに、当社の価値観をお伝えすることができます。
一般的には、モデルハウスの見学と商談でセールスすることが多いでしょう。
でも、体験をとおして価値観を共有することは、セールス以上の効果を生みます。
また、ジョンソンホームズでは年に一度の恒例行事として「オーナー感謝祭」を開催しています。
オーナー感謝祭は、お客様に「住んだ後もこの会社とお付き合いしていると楽しい」と思ってもらえる時間や体験を提供する機会の一つです。
詳しくはこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
オーナー感謝祭は何のために開く?イベントを企画する目的を考えよう
スノーピークに学ぶ!顧客体験価値向上の事例
20年ほど前の話になりますが、チタン製のシルバーのマグカップを買いました。
これが非常に良かった。
軽量・コンパクト・傷がつかない・飽きのこないデザイン、まさに機能美あふれる製品です。
このマグカップをつくっているのが、アウトドアブランド「スノーピーク」。
僕は、3年に1回くらいキャンプをする程度の「たまにアウトドア派」です。
それでも、スノーピークのマグカップに魅了されました。
ここでは、スノーピークを例に、顧客体験価値向上の事例について見ていきましょう。
スノーピークの企業理念
スノーピークは1958年創業、新潟県に本社を置くアウトドア用品メーカーです。
しかし、アウトドア用品を売るだけの会社ではありません。
オートキャンプブームを巻き起こしたことからもわかるように、「The Snow Peak Way」を企業理念として掲げ、自然指向のライフスタイルを提案・実現するリーディングカンパニーとなることを誓っています。
スノーピークは一般的なメーカーのように、啓発的な広告を出して広範囲にアピールするのではなく、店舗に足を運んだ顧客に対して「顧客体験」を重視したマーケティングを行なっています。
広告を出さないことで、最初は「スノーピークを詳しく知らない」という潜在顧客が多いかもしれません。
しかし、実際に店舗に訪れると、スタッフが質の高いサービスと正確な情報を提供し、製品への魅力を深めさせます。
また、購入後も設営講習会や各地のイベントを通じて、顧客との接点を維持し、ロイヤリティプログラムで購入を促進しています。
このように、顧客のニーズに寄り添い、真摯に向き合う姿勢が、効率的かつ強いエンゲージメントを生み出し、結果的にスノーピークのブランドを深く印象づけることに成功しています。
スノーピークを特徴づける2つの方針を見てみましょう。
自分たちのほしいものをつくる
スノーピークの製品づくりは、マーケティングでいうところの「プロダクトアウト」です。
お客さまのニーズに応えて商品開発をするのではなく、自分たちが本当にほしいと思うものをつくっています。
登山家でもあった創業者が、当時の道具に満足できずに自分で登山用品を開発した、その志を受け継いでいると言います。
「自分たちもユーザーである」という考えでものづくりを貫いているからこそ、ユーザーを心から満足させられる商品やサービスを提供できるのでしょう。
キャンプ場のなかに会社がある
スノーピークは、全国でいくつものキャンプ場を運営しています。
驚くことに、そのなかの一つに、本社と工場があります。
社長も社員もアウトドア愛好家で、しょっちゅうキャンプをしているのだとか。
その体験は、製品づくりに生かされています。
まさに「自分たちもユーザーである」なのです。
スノーピークのキャンプ場は、お客さまにアウトドアライフを体感してもらうためのもの。
ストアを併設していて、すべてのプロダクトを手にすることができますし、本社のあるキャンプ場では、フィールドに設営された商品に実際にふれることができます。
このオートキャンプ体験で家族や友人たちと過ごした楽しい時間は、お客さまを感動させ、良い思い出として残ります。
それは、お客さまの記憶のなかにスノーピークが刻まれることでもあります。
スノーピークの商品づくりは、自分たちの本当にほしいものをつくって、同じようにほしいと思っている人たちにお分けするという感覚です。
世の中にまだないものを売ることの本質ではないでしょうか。
現状あるものに満足はしていないけれど、具体的にほしいものをイメージするのは難しい。
だからこそ、アウトドアを愛してやまない人たちが自分たちのほしいものを本気でつくった商品は、多くの人たちに響くのだと思います。
顧客体験価値とは購入や利用を通じて得られる体験全体の価値
顧客体験価値とは、顧客が企業やブランドとの接点で得る一連の体験を指し、商品やサービスの提供だけでなく、購入からサポートに至るまでの全体的な体験が含まれます。
顧客体験が重要な理由は、競争優位性を生む要素であり、企業がパーソナライズされた体験を提供することで差別化できるからです。
さらに、顧客との感情的なつながりがロイヤルティや満足度を高め、デジタル化により接点が複雑化する中で、一貫した体験の提供が求められます。
顧客体験価値を向上させることで、顧客ロイヤルティが強化され、競争において優位性を確立できます。
企業は顧客データを活用し、業務プロセスを見直し、部門を超えた全社的な協力体制を築くことが必要です。
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