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こんにちは、金子です。
10年ほど前の話になりますが、チタン製のシルバーのマグカップを買いました。これが非常によかった。軽量・コンパクト・傷がつかない・飽きのこないデザイン、まさに機能美あふれる製品です。
このマグカップをつくっているのが、アウトドアブランド「スノーピーク」。
僕は、3年に1回くらいキャンプをする程度の「たまにアウトドア派」です。それでも、スノーピークのマグカップに魅了されました。
この会社を知るほど、魅力に惹かれます。そこには、住宅営業のヒントがありました。
スノーピークの企業理念
スノーピークは1958年創業、新潟県に本社を置くアウトドア用品メーカーです。しかし、アウトドア用品を売るだけの会社ではありません。
オートキャンプブームを巻き起こしたことからもわかるように、「The Snow Peak Way」を企業理念として掲げ、自然指向のライフスタイルを提案・実現するリーディングカンパニーとなることを誓っています。
スノーピークを特徴づける2つの方針を見てみましょう。
自分たちのほしいものをつくる
スノーピークの製品づくりは、マーケティングでいうところの「プロダクトアウト」です。お客さまのニーズに応えて商品開発をするのではなく、自分たちが本当にほしいと思うものをつくっています。
登山家でもあった創業者が、当時の道具に満足できずに自分で登山用品を開発した、その志を受け継いでいるといいます。
「自分たちもユーザーである」という考えでものづくりを貫いているからこそ、ユーザーを心から満足させられる商品やサービスを提供できるのでしょう。
キャンプ場のなかに会社がある
スノーピークは、3つのキャンプ場を運営しています。驚くことに、そのなかの1つに、本社と工場があります。
社長も社員もアウトドア愛好家で、しょっちゅうキャンプをしているのだとか。その体験は、製品づくりに活かされています。まさに「自分たちもユーザーである」なのです。
スノーピークのキャンプ場は、お客さまにアウトドアライフを体感してもらうためのもの。ストアを併設していて、すべてのプロダクトを手にすることができますし、本社のあるキャンプ場では、フィールドに設営された商品に実際にふれることができます。
このオートキャンプ体験で家族や友人たちと過ごした楽しい時間は、お客さまを感動させ、よい思い出として残ります。
それは、お客さまの記憶のなかにスノーピークが刻まれることでもあります。
住宅を愛しているか
みなさんは、自分の商品に愛情を持っていますか。
自社の家を愛しすぎて、こだわりを押しつけるのはよくないけれど、愛情がないようでは、お客さまはその家をほしいと思わないでしょう。スノーピークの流儀を見ていると、そう感じます。
住宅業界では、自分の家を建てた社員の営業成績がいいという傾向が見られます。施主としての経験が自信となり、お客さまの心に響く営業ができるようになるのです。
実際に家を建てていなくても、生活者として住まいへの思いは必ずあるでしょう。「自分たちもユーザーである」という立場で、注文住宅を捉え直してみませんか。
世の中にまだないものを売るということ
スノーピークの商品づくりは、自分たちの本当にほしいものをつくって、同じようにほしいと思っている人たちにお分けするという感覚です。
世の中にまだないものを売ることの本質ではないでしょうか。
現状あるものに満足はしていないけれど、具体的にほしいものをイメージするのは難しい。だからこそ、アウトドアを愛してやまない人たちが自分たちのほしいものを本気でつくった商品は、多くの人たちに響くのだと思います。
住宅も、世の中にはまだないものを売ることにほかなりません。
自分の扱う商品をとことん好きになって、お客さまにその価値を伝えることのたいせつさがわかるのではないでしょうか。
体験をとおして価値観を共有する
住宅業界で、スノーピークのオートキャンプ体験を実践するとしたら、どういうことが考えられるでしょうか。
当社では、家を建てたいと考えている人たちを、オーナーさまの家にお連れしています。そこでの暮らしぶりを目の当たりにし、家が建つまでのストーリーを聞くことができる時間をつくっているのです。
1時間ほど同じ時間を過ごすことで、家に興味を持ってくださったお客さまに、当社の価値観をお伝えすることができます。
一般的には、モデルハウスの見学と商談でセールスすることが多いでしょう。でも、体験をとおして価値観を共有することは、セールス以上の効果を生みます。
まとめ
アウトドア業界に新しい風を吹かせるスノーピーク。その原点は、ユーザーとしての自分たちが本当にほしいものをつくること。そうしてできあがった自慢の商品を、体験を通してお客さまと共有することで、多くのファンを獲得してきました。
スノーピークの商品への愛と、体験の共有を住宅営業にも取り入れてみましょう。現状に風穴を開け、いままでとは違う手応えを感じられると思います。