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こんにちは、ジョンソンホームズの川田です。
住宅会社では、年間契約30棟を超えてきたあたりで、社長の属人性で住宅を販売することに限界が出てきます。
どんなに社長がスーパーマンであっても営業兼社長業の二足の草鞋はハードですし、365日忙しく働くことになります。
現在の規模が目の届く限界として、あえて規模を拡大しない会社は多々ありますが、10年、20年後の会社の将来を考えたとき、この状況を維持できる可能性は限りなく低いでしょう。
今回は、今後の住宅業界の状況予測から、なぜ会社規模を拡大していかなければならないか、そして新卒採用が会社の規模拡大の鍵となることをお伝えします。
会社の規模拡大が必要な理由とは?
まず、会社規模を拡大する必要性について大きく3つの理由があります。
- 土地が買えない会社は生きていけなくなる
- 建築資材と業者(大工)さんの調達が不利になる
- 中堅社員の行き場がなくなる
ひとつずつ解説していきます。
1.土地が買えない会社は生きていけなくなる
近年、戸建て需要の増加と主に地方都市での戸建て用地の地価上昇に伴って、流通している土地が減り、入手しにくくなっています。
そのため、大手のハウスメーカーは独自に地主や不動産会社から土地を購入して、自社地販売を強化しています。
良い建物を建築する力があっても、土地を購入できない会社はお客様との商談でも非常に不利な立場に立たされることが多くなりました。
自社地販売を行うためにはそれなりの資金力と地域の不動産会社との関係構築が必須ですが、会社規模が小さい場合、土地に投資することは難しいでしょう。
2.建材と業者(大工)さんの調達が不利になる
2023年現在、コロナ、ウッドショック、輸送費高騰、原材料高騰、円安、戦争など、複合的な要因で木材を含む建設資材の高騰が進んでいます。
大手のハウスメーカーや棟数規模の大きな地場の有力工務店は、木材などの資材の規格を統一し、まとめて発注することで、地域工務店よりも価格を抑えることができています。
また、木材は需要に追い付いていない事態がたびたび発生しており、優先的に大口顧客へ販売されます。
そのため、契約して基礎はできているのに、プレカットの木材がいつまでたっても納品されない...なんて事態も発生しています。
さらに、建設業にかかわる業者(大工)さんの高齢化が深刻です。
人口減少による担い手不足がどの業界よりも進んでいる実情です。
また、働き方改革によって、現場に出る時間も制限がかかり、これまで以上に人が足りない状況に陥っています。
大手ハウスメーカーは自社で大工や専門職の人材を育成し始めていたり、年間を通じて仕事に穴をあけないことを約束したりして、業者さんの囲い込みを行っています。
3.中堅社員の行き場がなくなる
会社規模を大きくしない場合、社内の年齢分布がいびつになり、上層のポストを増やせず10年20年経っても同じ役職のスタッフが出てきます。
業績不振などで降格・退職をしてエスカレーター式に昇進するか、あきらめて今のポジションに居続けるかしか選択肢がありません。
果たして、今いる若手のスタッフが40歳、50歳になったとき地位を要求しないでしょうか?
以上の3つの理由から、企業は会社規模を拡大していく必要があります。
しかし、大きくしようと思って動いてもすぐに会社は大きくなりません。
若手のスタッフがいつのまにか40、50歳になる前に、会社規模を大きくするための策を実施していくことが大切です。
その施策として有効なのが、新卒採用。
新卒採用は会社の幹を成長させるために非常に重要な役割を担います。
新卒採用のメリットは新卒が会社の規模拡大を支える鍵となること
会社規模を拡大する場合、売上を上げるとともに人材を確保することが課題です。
中途で経験者を採用していくことも大事ですが、即戦力に依存してしまうと、会社の崩壊を招きます。
しっかりと会社の幹を育てていくためには新卒採用も並行して取り入れていくことをおすすめします。
新卒採用は会社の幹を太くする
新卒採用は中途採用に比べて労力がかかります。
しかし、新卒採用は企業の成長につながります。
新卒採用を進めていく中で、会社の幹を太くして、10年、20年後の成長を促していくことができるのです。
新卒で採用されたスタッフは、社会人になること自体が初めて。
そのため、より細かなルールや会社、住宅業界とはどんな仕事内容なのかについて教えていく必要があります。
そのため、4月の新卒入社までに社内でルールの整備や明文化をしなければならなくなり、必然的に仕事のマニュアル化が加速します。
さらに、教育担当者は新卒社員へ説明する機会が訪れるため、あらためて会社のルールや業務について見直したり、学ぶことが必要になったりし、現社員の成長のきっかけにもなります。
新卒採用を導入する副産物として会社の業務内容がマニュアル化されることで、日々の業務の無駄やムラが可視化されて改善されます。
これは、業務の効率化や平準化につながり、教育担当者が成長していきます。
翌年は、昨年新卒採用されたスタッフが教育担当者を担うことで、さらなる業務の可視化とマニュアル化が進み、会社とスタッフが成長する善循環が生まれます。
これを繰り返していくことで、会社の幹が太くなり10年、20年と安定して企業が成長する環境になっていきます。
新卒を採用するにあたって、経営陣や社長の独断だけで決定することはおすすめしません。
経営陣が独断で採用して部署に配属されてしまうと「新卒の誰かがうちの部署に来るらしい」というように他人事になってしまいがちです。
ジョンソンホームズでは、各事業部のマネージャーが採用する人材を選んでいます。
自分で採用している分、愛情や期待度が変わってきます。
責任も配属された部署のマネージャーが持つため、しっかりと育て上げていきます。
愛情と責任を持って新卒の教育を行っていくことで、マネージャー自身の成長、新卒の成長、そしてそれを繰り返すことが会社の成長にもつながっていきます。
新卒採用の方法・戦略については、こちらのコラムも参考にしてください。
新卒採用のメリット・デメリット
新卒採用は会社の規模拡大に必要と説明しました。
新卒採用には、他にもさまざまなメリットがあります。
デメリットもあわせて見ていきましょう。
新卒採用のメリット
新卒採用のメリットをご紹介します。
メリット①幹部候補となり得る人材を育成できる
新卒採用では、自社への熱意を持ったポテンシャルの高い新卒者を採用することができます。
また、新卒採用者は中途採用者と比べて、特定の職種や働き方にこだわる人が少ない傾向にあります。
そのため、若いうちから全国転勤や複数の部署で経験を積みながら、幅広い視野を養えるよう育成することができます。
計画的に人材育成に取り組めるため、自社の将来を担う幹部候補となる可能性が高くなるでしょう。
メリット②企業文化を受け入れやすい
新卒採用のメリットとして、自社の企業文化を柔軟に受け入れやすいという点があげられます。
熱意を持って入社した初めての職場は、新卒スタッフにとって愛着を持ちやすく思い入れが強くなります。
そのため、他社を経験してきた中途採用者よりも、就労経験がない新卒スタッフは自社の風土に馴染みやすく、企業文化を継承する立場としても適しています。
メリット③企業の知名度を向上できる
新卒採用では、会社説明会を通じて多くの学生に企業PRを行うため、企業の知名度を上げる良い機会になります。
また、新卒採用の会社説明会は、大規模なものも多く、メディアに取り上げられることもあります。
メリット④複数の人数をまとめて採用できる
新卒採用は、同じ時期にまとまった人数を採用するため、入社準備や研修も同じタイミングで行えるメリットがあります。
社員教育を一斉に行うことで、企業文化も定着しやすくなります。
また、新卒スタッフの同期は同時期に社会人としてのスタートラインに立つので、交流や絆が生まれやすく、定着率が高まるというメリットもあります。
新卒採用のデメリット
対して、新卒採用のデメリットには次のような点があげられます。
デメリット①戦力になるまでの育成に時間がかかる
新卒採用の大きなデメリットは、戦力となるまでに時間がかかってしまうこと。
新卒採用者は就労経験がないため、社会人としての基本的なマナーやスキルなど、幅広く教育が必要です。
入社後に研修を行う必要があり、一人前の社員となるまで数カ月から1年ほどかかります。
中途採用者のような即戦力としての働きは期待できません。
なお、育成方法や会社の仕組みづくり次第では新人営業を即戦力化することも可能です。
こちらのコラムで詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。
新人営業を即戦力化する方法とは?必要なスキルや仕組みづくりを解説
デメリット②早期離職が起こりやすい
せっかく就職をしても、社会人としての生活に馴染めずに、早い段階で退職する人もいます。
仕事内容や職場環境に対してイメージとのギャップに悩み、離職するケースも。
実際に、新卒者の早期離職する割合は高い傾向にあります。
令和4(2022)年に厚生労働省が発表した新規学卒就職者の離職状況(平成31/2019年3月卒業者)によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者で35.9%、新規大卒就職者では31.5%となっています。
事業所の規模が小さくなるほど、離職率も高くなる傾向があり、5人未満の事業所の離職率は、新規高卒就職者で60.5%、新規大学就職者で55.9%にもなります。
(参照:新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します|厚生労働省)
離職を防ぐ新卒採用スタッフの研修のコツは、「不安にさせない」ことです。
部署に配属されたのに適切な業務や教育の場を与えられずフリーになる時間があると、「何をして良いかわからない」「会社に自分は不要な人材なのではないか」と、不信感を与えてしまいます。
朝や各研修の合間、終業時などは、特に何をしたら良いかわからなくなりやすい時間です。持ち回りで側についてあげる担当を配置しましょう。
そのほか、フリーな時間を作らないよう入社から1カ月程度はびっちりと研修プログラムを組んだり、日報を全社員へ配信して反応をもらったりするなど、「会社全体でフォローしてくれている」「見てくれている」という環境を作りましょう。
優秀に育てる研修を組むよりも、不安を抱かせないことがなによりも重要です。
中途採用のメリット・デメリットは?
中途採用は新卒採用と比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのかも見ていきましょう。
中途採用のメリット
中途採用のメリットをご紹介します。
メリット①即戦力を獲得できる
中途採用のメリットは、即戦力となる、自社が求める知識やスキルを持った人材を確保しやすいということです。
中途採用の募集要項では、求める資格やスキルなど条件を指定して募集し、それに合った人材から応募が来ます。
そのため、すでに十分なスキルを持っている人材を採用することができます。
他の会社での経験や、これまで培った経験を活かして、入社してすぐに会社の利益に貢献してくれることが期待できるでしょう。
メリット②自社にないノウハウを取り入れられる
中途採用は、他社での就労経験があるため、自社にないノウハウを持っています。
これは、住宅業界ではない他業種からの転職でも同じことが言え、中途採用で入社した人材を通して、他社で培った専門知識や働き方などを自社に取り入れることができるのも、中途採用の大きなメリットの一つです。
自社に新しい風を取り入れることで、企業の成長につながります。
中途採用のデメリット
中途採用のデメリットを、例とまじえてご紹介します。
デメリットとして挙げられるのが、即戦力に頼りきってしまうと会社を傾けてしまうおそれがあることです。
会社の規模拡大を早急に行う上で一番簡単なのは、中途で経験者を採用していくことです。
住宅業界での中途採用であれば、住宅営業、設計、工務など他社で経験しているため、新たな教育を必要とせず業務に充てることができます。
しかし、即戦力に頼りすぎると、今まで築き上げてきた社長が理想とする会社像の崩壊を招く危険性があります。
ここで、例を挙げてご説明します。
例.1)業者との交渉が得意な建売ビルダー経験者の工務を採用
規模が小さく地場の業者さんとのつながりを大事にしていた住宅会社に、大手建売ビルダーの工務が入社。
工務担当は規模拡大を見越して既存の業者の整理や価格交渉をし、利益を確保した。
しかし、地場の業者さんが仕事を受けてくれなくなるトラブルが発生した。
例.2)他社のトップセールスを営業として採用
地場の有力ビルダーでトップセールスだった営業マンが入社した。
入社後に次々と受注を上げたが、設計打ち合わせまで進んだところでトラブルが続発。
会社のルール外の仕様やオプションについて把握していなかったため、前の会社のやり方で商談を進めてしまっていた。
その他、中途入社のスタッフは前職の経験から社長が思い描いていた会社像やルールを意図せず崩壊させることがあります。
中途でスタッフを採用していく際には、明確なルールの設定や明文化をあらかじめ行なったり、面接時点で実績だけではなく、社風に合うかどうかの見極めが重要です。
新卒採用のメリットを活かして会社の規模拡大につなげよう
今回はなぜ会社の規模を大きくしていかなければならないのか、新卒採用が会社を大きくするうえで有効な理由、新卒採用と中途採用のメリット・デメリットについて解説しました。
住宅業界なら、年間30棟規模を超えてきて、会社規模を大きくしていく場合、新卒採用の検討が必要です。
こじんまりとした住宅会社は土地が買えない、資材調達が難しくなる、業者(大工)さんが確保できなくなるなどの要因から存続が難しくなっていきます。
現状のまま20年経って会社規模が変わっていない場合、上のポストに空きはありません。
当時30代だったスタッフは50代になっています。
この年齢のスタッフが果たして上の地位を要求しないでしょうか?
この状況に陥る前に新卒採用を取り入れて、会社規模を拡大することをおすすめします。
私たちジョンソンパートナーズは、直営店では2020年度札幌市内着工棟数No.1の実績と、全国64店舗のフランチャイズ加盟店様への支援ノウハウ・実例があります。
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