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「ブランド」の意味を一言でいえば、「信頼の象徴」です。
「ブランドがある」というのは「既にその商品やサービスの品質への信頼を得ている」ことになるため、事業を展開していくに当たっての新規開拓や価格交渉等を進める上では、無名のポジションから始めるよりもはるかに有利に働きます。
ブランドを作ることをブランディング、その方法をブランディング手法と言います。
ブランドを実際に作って見込み客の間に広めるためには、さまざまな仕組みが必要ですが、基本となるのはアイデンティティ、抽象メディア、可視メディアの3階層に分ける考え方です。
今回は、その3階層について考えてみましょう。
変わらぬ価値観を表す「アイデンディティ」
「アイデンティティ」とは、ブランドの「根本となる価値観」であり、ここで特定のライフスタイルを持った客層を想定します。
たとえば次のようなものがアイデンティティであり、ブランドが続く限り基本的に変わりません。
ルイ・ヴィトン
多くの荷物を持って旅行する中上流階級のためのトランク
マクドナルド
家族や友人との肩肘張らない楽しい一時を過ごせる Favorite Place and Way to Eat
アップル インコーポレイテッド(旧称アップル)
クリエイティブな仕事をする人のシンプルな文房具のようなコンピュータ
アイデンティティを象徴する言葉やデザイン「抽象メディア」
「抽象メディア」はそのアイデンティティを象徴する言葉やデザインであり、キャッチコピーやロゴマークがこれに当てはまります。
キャッチコピー
It's a Sony(ソニー)、Digital Dream Kids(ソニー)、マールボロ・カントリー(タバコのマールボロ)、The Power Of Dreams(ホンダ)、Think Different(アップル)、Just do it(ナイキ)など
ロゴマーク
LとVを組み合わせたモノグラム(ルイ・ヴィトン)、かじりかけのリンゴ(アップル)、ほほえむ人魚(スターバックス)、黄色のアーチ型M(マクドナルド)など
アイデンティティは基本的に変わりませんが、キャッチコピーやロゴマークは時代に応じて変えてゆくものです。
It's a Sonyやマールボロ・カントリーのように数十年以上も変わらずに使われるキャッチコピーもありますが、Think Different のように今では使われていないものもあります。
抽象メディアを具体的な形にした「可視メディア」
「可視メディア」は、これらの抽象メディアをもとにして作った「目に見える具体的なもの」です。
商品そのものだけでなく、看板、名刺、パンフレット、CM、封筒などのさまざまなグッズが可視メディアにあたります。
例えば、マクドナルドではMをモチーフにした赤地に黄色のアーチ型ロゴマークを、看板、メニューボード、包装紙、カップなどがそれにあたり、いろいろな場所で目にすることができます。
しかし、これらのグッズはその店に来店するか店の前を通りがかった客の目にしか入りません。
職場や家など、店の外でも思い出してもらうためには、文房具、フィギュア、商品パンフレットのような持ち帰れるグッズやCMが役立ちます。
ブランディングのために使われるこれらの「可視メディア」は、総称して「ブランディングツール」と言います。
ブランディングツールは種類が多いため、それぞれを個別に制作するとコストがかかります。
個々のツールの制作以前にアイデンティティと抽象メディアが適切に設計されていないと、せっかく作っても狙った効果を発揮できないことに注意が必要です。
ブランディングのもうひとつの要素「コミュニケーション」
ブランディングを「商品やサービスへの信頼を得て、そのイメージを広め維持する方法」と考えた場合、特に住宅会社にとってはもうひとつ「コミュニケーション」という要素が欠かせません。
住宅を建てる人にとって信頼がおけるのは、地域・顧客に密着してその「暮らし」をサポートし続けてくれる会社であり、もっと掘り下げれば、コミュニケーションができる「人」だと言えます。
看板、パンフレット、名刺といった形のあるブランディングツールも必要ではありますが、それらは基本的に「一度作ったらコピーして使うもの」です。
しかし、人との「対話」はコピーできません。
「この人/会社がいつも身近にいて、私の声を聞き、応えてくれる」という信頼が寄せられるのは、コミュニケーションができる「人」だけです。
そのように考えると、LINEやFacebookのようなSNSメディアやブログもまたブランディングツールとして欠かせないものであると言えます。
まとめ
ブランディングを行うためには、ブランド・アイデンティティ、抽象メディア、可視メディアの三階層を考えてブランディング・ツールを制作し活用する必要があります。
それらのツールを1から作り出すのは簡単ではありません。
特に住宅会社のブランディングでは顧客との「コミュニケーション」が非常に重要であり、そのためのツールとしてLINEやFacebookも大きな意味を持っています。