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工務店や住宅メーカーにおいて、営業職は住宅販売の中核を担う重要なポジションです。
住宅販売は顧客との信頼関係が重視される職であり、営業職の手腕によってクロージング数や成約率が大きく左右されます。
しかし、住宅業界には人材面の課題が多く、優秀な人材を育てられていない企業も珍しくありません。
実際に、採用したばかりの人材に、どのように住宅営業の教育を行うべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は住宅業界の営業職が抱える課題を交えつつ、住宅営業の新人に対する具体的な教育方法や、営業成績を改善する方法を解説します。
住宅業界が抱える営業職の課題3つ
住宅業界が抱える営業職の課題は、主に以下の3つがあります。
- 営業職の離職率が高い傾向にある
- 住宅着工数が減少傾向にある
- 身に付ける知識が膨大である
住宅業界で働く営業職を効率よく教育するためにも、住宅業界の事情や営業職の課題について把握しましょう。
①離職率が高い傾向にある
住宅業界は、離職率がやや高い傾向にある業界です。
厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」によれば、2021年(令和3年)における「不動産業、物品賃貸業」の離職率は11.4%でした。
産業計平均である13.9%は下回っているものの、「宿泊業、サービス業」など一部業種が極めて高い数値を出している影響もあり、住宅業界も離職率が高い傾向にあるといえます。
住宅営業において、離職率が高い傾向にある原因にあるのは、住宅営業の拘束時間の長さにあります。
住宅購入を考えている客層は、主に30〜40代の夫婦や家族。
共働き世代が多いため、打ち合わせや内覧が平日の夕方〜夜、または休日にスケジュールされることが多いです。
結果的に長時間労働につながり、「住宅営業はキツい」というようにブラックなイメージにつながってしまいます。
建設業における若者離れについては、「建設業で若年層離れが深刻な理由|若者離れへの対策も」で詳しく解説しています。
気になる方は、あわせてチェックしてみてくださいね。
②住宅着工数が減少傾向にある
住宅着工数の減少も、住宅業界の将来性に関わる大きな課題です。
住宅の需要は人口と密接に関係しているため、若年人口が減少すると住宅の需要も減少します。
以下の表は、国土交通省が発表した「建築着工統計調査報告(令和3年計分)」をもとに作成した、2017〜2021年における住宅着工数の推移です。
年 |
住宅着工数(戸) |
2017(平成29) |
964,641 |
2018(平成30) |
942,370 |
2019(令和元) |
905,123 |
2020(令和2) |
815,340 |
2021(令和3) |
856,484 |
2020年から2021年にかけては微増しているものの、ここ数年で見ると住宅着工数の減少は明らかであり、特に2020年は前年の2019年と比べて約10%の減少を見せました。
業界の動向がやや下向きであることも影響して、住宅営業での受注獲得は過去と比べ難しくなり、営業職の実力差が顕著に出る状況です。
そのため、なかなか成果が出せずに住宅営業から離職する人が増えてしまいます。
③身に付ける知識が膨大である
住宅業界の営業職として働くためには、顧客に質問された際に、すぐ答えられるよう知識を身に付けなければなりません。
例えば、以下のような専門的知識が求められます。
- 不動産登記の知識
- 固定資産税や不動産取得税の知識
- 住宅の工法、設計に関する知識
- 住宅ローンの種類・金利・返済方法に関する知識
これら以外にも、土地・住宅・ローン・建築技術など膨大な分野があり、それに加えて自社・他社商品の理解も必要です。
また、住宅営業を行う人材は、住宅に関する知識だけでなく、顧客に対して分かりやすく説明できるプレゼンスキルや顧客に信頼してもらうための人間力、契約を取るための営業テクニックも必要です。
住宅営業の離職率が高い原因の1つには、身に付けなければいけない知識の量が膨大であることも挙げられるでしょう。
住宅営業の新人を教育するための5つの方法
住宅業界では営業職の定着・飛躍を目指すためにも、住宅営業の教育を心がける必要があります。
以下に挙げる5つの教育方法を組み合わせて、効果的な社員教育を行いましょう。
- 教育フローを確立する
- 営業同行を積極的に行う
- 資格取得をサポートする
- データドリブンな指導を行う
- 効率的に営業できるツールの導入を検討する
5つの教育方法について、教育内容や具体的な方法を解説します。
①教育フローを確立する
住宅営業の教育では、教育フローを確立することが大切。
教育フローを確立することで、現時点で行うべき教育内容が明確となり、教育後の評価・フィードバックも容易となるためです。
教育フローを作成する際は、目標とフェーズを設定し、定められたフェーズ内に目標を達成できるような人材育成カリキュラムを検討しましょう。
一例として、入社前から初めて営業に出るまでの教育フローを紹介します。
時期 |
目標 |
具体的なカリキュラム内容 |
入社前 |
住宅営業の基礎を理解する |
|
研修期間 (入社後半年間程度) |
顧客対応や営業方法を理解し、現場着任出来る状態を目指す |
|
現場着任後 |
業務上の不明点や不安を解消し、単独営業ができる状態を目指す |
|
なお、営業プロセスを可視化することで、新人営業マンもプロセスに沿った営業をすることが可能です。
こちらのコラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
②営業同行を積極的に行う
新入社員に住宅営業の方法を学ばせるためには、先輩営業職や指導担当者が営業同行を行うのも1つの手です。
先輩が持つ営業のコツや手法を若手へと伝えられるメリットがあります。
営業同行を行う際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 新入社員が商談を行った際の改善点・問題点は、現場ですぐ伝える
- 良かった点や悪かった点、フォローアップの内容はすべて記録する
- 帰宅後は営業同行の内容について意見交換を実施し、指導内容をおさらいする
実際に営業の経験を積ませることで、新入社員は少しずつ仕事に自信が持てるようになります。
また、仮に失敗があったとしても、その場で同行者による顧客のフォローが可能です。
③資格取得をサポートする
住宅営業に関する知識を効果的に身に付けるためには、住宅関連の資格を取得することが有効です。
資格取得に向けた勉強を進めることで、自然と住宅営業に必要な知識が身に付きます。
以下に住宅営業におすすめの資格とそれぞれで学べる内容をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
資格名 |
学べる内容 |
宅地建物取引士 |
不動産取引に関する法律や住宅建築時の制限など |
建築士(1級/2級/木造) |
住宅構造や防災設備など、家づくりの知識 |
住宅ローンアドバイザー |
住宅ローンの仕組み・商品知識やリスクなど |
ファイナンシャルプランナー(FP) |
住宅ローン・不動産・保険商品・税金などお金全般の知識 |
インテリアコーディネーター |
住宅の間取り・環境やインテリアデザインについて |
住宅FPマスター |
住宅営業の倫理観や知識・情報・コミュニケーションスキルなど |
新入社員の学習を促進するためには、企業として資格取得のサポートを整えることも重要です。
具体的な例としては、資格保有者の先輩社員が社内で資格勉強会を開催したり、会社から受験に必要な教材費・合格した場合に受験料や奨励金を支給したりするなどの金銭的な補助が挙げられます。
また、資格を取得した場合の資格手当なども明確に決めておくと、資格取得のモチベーション向上につながりますよ。
④データドリブンな指導を行う
住宅営業の新人教育には、データドリブンな指導も効果的です。
住宅営業におけるデータドリブンな指導とは、蓄積されたデータに基づいた営業ができるように指導すること。
各指標の状況を随時分析することで、各営業マンのボトルネックになっている部分が可視化でき、次のアクションに向けた指導が論理的に行えます。
トップセールスの獲得リード数・アポ獲得数・クロージング数などを参考に、新人教育の際も明確なKPIを定めましょう。
※KPI...Key Performance Indicatorの略称で「重要業績評価指標」のこと。目標を達成するプロセスでの達成度合いを、計測・監視するために置く定量的な指標を意味するものです。「KGI・KPI・KDIの違いとは?目標達成のために設定すべき指標」もご参考ください。
⑤効率的に営業できるツールの導入を検討する
住宅営業の新人を即戦力化するためには、ツールの導入もおすすめです。
具体的には、「バーチャル展示場」などが挙げられるでしょう。
バーチャル展示場とは、VRを用いて作り出した仮想空間の中の展示場のことで、専用のゴーグルとスマホさえあれば、どこにいてもまるで実際に物件を見ているかのような感覚になれます。
メリットは、図面やカタログを用いて顧客に説明する必要がないこと。
顧客にとっても物件の詳細を理解しやすくなるため、知識や営業スキルが未熟な新人でも顧客対応がやりやすくなります。
ツールによっては顧客が自分で床や壁の色、設備などを選択できる機能を兼ね備えているものもあるため、住宅営業の拘束時間が短くなるのもメリットです。
住宅営業の伸びに悩む場合は「フランチャイズ」の検討もおすすめ
住宅営業の伸びに悩む場合は、住宅営業を根本から改善する「フランチャイズ」の検討もおすすめです。
住宅フランチャイズに加盟することで、住宅商品だけでなく、住宅販売のノウハウが詰まったパッケージを使用できます。
経営面や運用面においても、フランチャイズ本部の指導とサポートを受けられることが特徴です。
そんな住宅フランチャイズのメリット・デメリットは、以下のとおり。
【住宅フランチャイズのメリット】
- 確立された住宅販売のノウハウや、営業に活用できるデータが手に入る
- ブランドイメージや知名度により顧客からの信頼感を得られる
- 中小規模の会社では難しい大規模な広告・宣伝活動が行える
【住宅フランチャイズのデメリット】
- パッケージが加盟店側の方針や地域性と合わない場合もある
- フランチャイズ本部が提示するルールを遵守する必要がある
- 成果が得られなかった場合もロイヤリティを支払う義務がある
住宅フランチャイズはパッケージに住宅販売のノウハウが詰まっているため、時間をかけずに売上を伸ばす手段が学べます。
新人教育の一環として取り入れる方法もおすすめです。
フランチャイズ本部のブランドイメージを利用できて、効果的な広告・宣伝が打てることもメリットといえるでしょう。
ただし、パッケージが加盟店側の方針や営業展開している地域性と合わない場合、営業マンや顧客に混乱を生む恐れがあります。
住宅フランチャイズを導入する際には、自社の課題に沿った提案を行ってくれるような企業を選定することが大切です。
住宅営業の新人育成を成功させて安定した企業運営を目指そう
住宅営業を行う営業職は、住宅販売の売上を左右する人材です。
住宅業界は離職率の高さや住宅着工数が減少傾向にあるなど課題を抱えているため、営業職の教育を効果的に行う必要があります。
住宅営業の新人を教育するには、まずは教育フローを確率することが重要。
営業同行を積極的に行ったり、資格取得をサポートしたり、データドリブンな指導を行うのも効果的です。
新人を即戦力化したい場合は、バーチャル展示場などのツールを導入するのも良いでしょう。
また、住宅販売の売上を伸ばすためにはフランチャイズもおすすめです。
住宅フランチャイズを利用することで、各社の課題に沿った住宅パッケージや、住宅販売のノウハウを使用し、営業を効率化できます。
住宅営業を根本から改善したい場合は、ぜひ住宅フランチャイズをご検討ください。
ジョンソンパートナーズでは、うまくいく経営のヒントについてのコラムを多数掲載しています。
気になる方は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね!
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住宅フランチャイズのサービス範囲は、フランチャイズ運営毎に様々です。
住宅システムのパッケージ提供だけの運営会社もあれば、営業マンの育成・指導から建材納入、工務支援や工務店経営全般のサポートを行うところもあります。
私たちジョンソンパートナーズは、直営店では2020年度札幌市内着工棟数No.1の実績と、全国64店舗のフランチャイズ加盟店様への支援ノウハウ・実例があります。
30名を超える専属のフランチャイズ人員と直営店スタッフが加盟店様を住宅営業の初回商談の指導から工務店経営まで幅広くサポートいたします!
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