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建設業では、慢性的な人手不足の解消や生産性の向上を実現するために、働き方改革の推進が重要な課題となっています。しかし、具体的にどのような改革を進めるべきか、疑問を感じている建設業の経営者は少なくありません。
そこで今回は、「建設業働き方改革加速化プログラム」について解説したうえで、建設業における働き方改革の事例を紹介します。建設業における働き方改革の内容を詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
建設業働き方改革加速化プログラムとは?
「建設業働き方改革加速化プログラム」とは、建設業の労働環境を改善するために、国土交通省が平成30年3月に策定したものです。
建設業働き方改革加速化プログラムは、令和6年4月以降、建設業に適用される罰則を伴う時間外労働の上限規制に先駆けて既に推進されています。
建設業働き方改革加速化プログラムは法律ではないため、導入しなかった場合でも会社が罰則を受けることはありません。
ただし、建設業働き方改革加速化プログラムを実践せずに、令和6年4月以降の改革に準拠することは困難です。
ここからは、建設業働き方改革加速化プログラムが策定された理由と内容について、解説します。
プログラムが策定された理由
建設業働き方改革加速化プログラムが策定された主な理由としては、以下の2点が挙げられます。
建設業は「所定内労働」の時間が他業種よりも長く、週休2日を取れている事業所が少ないため
平成26年時点の全産業における1年間の所定内労働時間は1,609時間、所定外労働時間は132時間、合計で1,741時間でした。一方、建設業における1年間の所定内労働時間は1,918時間、所定外労働時間は160時間、合計で2,078時間に上っています。
特に、300時間以上も多い建設業の所定内労働時間の削減が、重大な課題と言えます。建設業の所定内労働時間が長い原因は、多くの事業所が他産業と比べて週休2日を取ることができていないためです。
建設業は特に人手不足が深刻化している状況で、29歳以下が1割しかいないことから、労働環境の改善が急務であるため
平成28年時点における55歳以上の施工管理者や技術者を含む建設業就業者が33.9%であったのに対して、29歳以下の就業者は11.4%でした。
しかも、今後は高齢者が大量に離職すると予想されています。そのため、若年入職者の確保・育成は、建設業における喫緊の課題です。
しかし、建設業は「きつい・汚い・危険」といった「3K」のイメージが強く、若者から敬遠されることが少なくありません。
建設業の現場で働く若者を増やすためには、3Kと呼ばれる労働環境の改善を急ぐ必要があります。
出典:厚生労働省「建設業及び建設工事従事者の現状」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000163293.pdf
プログラムの内容
建設業働き方改革加速化プログラムの主な内容としては、以下の3つが挙げられます。
長時間労働を防ぐ
建設業における長時間労働は、若者が建設業を忌避する原因の1つです。そのため、建設業働き方改革加速化プログラムは、週休2日制の導入を推進するなどして、建設業における長時間労働を防ぎます。
生産性向上に取り組む
週休2日制を導入すると、作業時間が減少してしまうため、納期に間に合わせることが難しくなることを懸念する経営者は多いでしょう。そこで、建設業働き方改革加速化プログラムは、ICTの活用や新技術の導入を進めることで生産性向上に取り組むことを推奨しています。
給与や社会保険の改善に取り組む
重労働に見合わない給与やキャリアアップの難しさ、社会保険の未加入率の高さは建設業における大きな問題です。建設業働き方改革加速化プログラムは、能力評価制度や建設キャリアアップシステムの稼働、社会保険加入のミニマムスタンダード化を推進し、問題解決を図ります。
建設業における働き方改革の事例
建設業働き方改革加速化プログラムを実践したいと考えているものの、具体的にどのような取り組みを行えば良いのかがわからず、悩んでいる経営者は多いでしょう。そこで、ここでは、建設業における働き方改革の事例を3つ紹介します。
コミュニケーションツールの導入
ある建設会社では、SNSのように手軽に使うことができるコミュニケーションツールを導入したことにより、業務の効率化を成功させています。
コミュニケーションツールを利用することで、チャットはもちろん、音声通話やビデオ通話、タスク管理を一挙に行うことが可能です。また、文章のみならず、写真や動画の共有も容易に行えるため、発注者や現場就労者などと会社のコミュニケーションがよりスムーズ化しています。
連絡にかかる手間や時間を最小限におさえ、働き方改革を推進したいと考えている経営者は、ぜひコミュニケーションツールの導入を検討してみてください。
ICT・最新技術の導入
ICTなど最新技術の導入を積極的に行い、業務の効率化を成功させた建設会社も少なくありません。ドローンを使って測量を行ったり、人工知能を活用して勤怠管理システムや労務管理システムを組んだりするなど、最新技術は建設業でさまざまな活用法があります。
ICTなど最新技術の導入には多額の費用が必要です。しかし、国土交通省は建設業の技術革新を支援するために、補助金や融資制度を整えています。最新技術を現場に導入する際には、ぜひ補助金や融資制度をフルに活用してください。
「土日閉所」の推進
週休2日制を実現するために、「土日閉所」を推進している企業もあります。土日閉所とは、事業者はもちろん、工事現場においても土日は作業を行わないと定める制度です。
従来、土日休日をうたう建設会社は、土日は事務所を閉めているものの、建設現場では現場監督や技能者をはじめとする労働者が働いていることが一般的でした。しかし、それでは建設現場の担当者が十分に休むことができないため、最近は土日閉所が推進されています。
土日閉所を実践する際には、あらかじめ土日に作業を行わないことを前提とした工期の設定が大切です。経営者はすべての建設従事者が十分な休みを確保しつつ、余裕を持って働くことができるように会社の体制を整えましょう。
住宅フランチャイズのジョンソンパートナーズとは?
ジョンソンパートナーズは、住宅商品の生産・販売システムの提供だけではなく、経営支援や人材育成までもサポートする住宅フランチャイズです。ジョンソンパートナーズには、以下に挙げる5つの住宅商品があります。
また、ジョンソンパートナーズを活用することで、以下のノウハウと支援を得ることが可能です。
20年間で年間契約棟数を30棟から300棟に伸ばしたジョンソンホームズの実績をノウハウとして提供
営業担当やマーケティング担当、納材担当など、各セクションのスペシャリストと直営店の協力による密接的な支援
会社の規模や状況、地域特性に応じた柔軟な支援
ジョンソンパートナーズはサポート体制が充実しているため、加盟店に加わることで、現場の負担を大幅に減らすことができます。
これから働き方改革を実施する建設会社にとって、私たちは全力で支援を行ってまいります。
建設業働き方改革加速化プログラムを実践したいと考えている建設業の経営者は、ぜひ、ジョンソンパートナーズへご相談ください。
まとめ
建設業における働き方改革のポイントは、「長時間労働を防ぐこと」「生産性向上に取り組むこと」「給与や社会保険の改善に取り組むこと」の3つです。具体的な働き方改革の方法としては、コミュニケーションツールやICTなど最新技術の導入、土日閉所の推進が挙げられます。
令和6年4月以降は長時間労働に厳しい法的な規制が加えられるため、それまでに建設業界は十分な対策を取らなければなりません。働き方改革を推進し、人手不足の解消と生産性の向上を実現するために、今から環境整備に努めましょう。