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建設・土木業界は古くから「3K」が常識であるとされ、そのイメージから新しい担い手の確保が難しく、深刻な人材不足に悩まされています。
そこで従来のイメージである「3K」を払拭し、新たな「新3K」を打ち出して業界全体を変えようという動きが現れました。
「新3K」の実現にあたっては、労働時間や給与形態など現状制度の抜本的な改革が必要です。
この記事では、建設業界の現状と「新3K」に向けた具体的な取組みについて紹介します。
建設業界・建設現場の現状
平成28年から平成30年にかけての国土交通省の調査によると、建設業許可業者数や建設業就業者数は、平成9年から平成12年をピークに年々減少しています。
平成30年3月末における国土交通省のデータによると、建設業許可業者数は464,889業者です。
前年度比0.1%の減少で、ピーク時である平成12年3月末時点と比較して22.6%減少しています。
【ピーク時と比較して見られる傾向】
- すべての都道府県で建設業許可業者数は減少している
- 「資本金の額が300万円未満の法人」および「資本金の額が500万円以上1,000万円未満の法人」が増加している
- 「個人」および「資本金の額が1,000万円以上2,000万円未満の法人」が減少している
- 建設業以外の営業を行っている兼業業者が増加している
出典:国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」
https://www.mlit.go.jp/common/001233709.pdf
平成28年における建設業就業者数は492万人で、ピーク時である平成9年より約28%減少しています。
建設業就業者・技能者・技能労働者のすべてにおいて減少傾向です。
出典:国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」
https://www.mlit.go.jp/common/001180947.pdf
労働者が減少している理由として、建設業における高齢化の進行が挙げられます。
数年後には高齢者の大量離職が予測され、中長期的な就業者確保の必要性が切実なものとなっています。
建設業における新旧3Kの定義
かつて建設業といえば「3K」が常識であるとされてきました。
肉体労働で体力が必要であり、衛生面や安全面で問題のある現場が多いことから「きつい」「汚い」「危険」といわれてきた歴史があります。
さらに、「給料が安い」「休暇が少ない」「かっこ悪い」を加えて「6K」と呼ばれることもありました。
その結果、多くの離職者を招き、求人を出しても応募者がx集まらず、若者の入職者は減少の一途をたどることとなっています。
そこで、平成27年に国土交通省と日本経団連が新しく提唱し始めた「新3K」が、「給料が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」です。
【旧3Kと新3Kの比較】
旧3K 「きつい」「汚い」「危険」
新3K 「給料が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」
建設業の若い担い手を確保するためには、建設業界は大胆な改革を進めて「新3K」を実現する必要があります。
新3Kの実現に向けて建設業に求められる改革
建設業界における「新3K」の実現には、労働条件の見直しや処遇改善などの早急な改革が必要です。
そのため、国土交通省はさまざまな取組みを実施しています。
建設業界が抱える問題点である長時間労働などを改善するためには、どのような取組みが必要なのでしょうか。
ここでは、新3Kを実現するための取組みについて解説します。
労働時間の短縮と休日休暇の確保
建設業における最も大きな問題点が、労働時間の長さや休日確保の難しさです。
建設需要が拡大すると、発注者の要求により、無理な工期で工事を行うケースが発生します。
その上、悪天候で工期が遅れた場合、長時間労働が強いられ、休みを返上せざるを得ないことがあります。
このような問題を避けるために、国土交通省は平成30年3月に「働き方改革加速化プログラム」を発表し、適切な工期設定での工事を要請しています。
また、工事用ロボットやICT(情報通信技術)の活用による生産性向上も、解決策のひとつです。
建設業就業者1人当たりの生産性を向上することで、技術者不足に対処できます。
その結果、労働時間を短縮化することで、週休二日制の導入や残業時間の削減が可能となります。
日給制の見直し
建設業就業者の年代別年収を見ると、年収のピークである45~49歳の平均年収は全産業の中でもトップクラスの水準です。しかし、そこには落とし穴があります。
建設業の平均年収が高い理由は、大手ゼネコンの社員や設計士、建設会社の経営者など一部の高額所得者が平均年収を引き上げているためです。
中小建設業者の収入は、管理職でも建設業界の平均年収以下にとどまります。
さらに問題となることが、建設業就業者の給料が月給制ではなく日給制であるという点です。
若く体力のある建設業就業者であれば、休みを返上して働くことで、大企業の大卒正社員並みの年収を得ることは不可能ではありません。
しかし、日給制では休んだ分だけ収入が減り、有給などの制度も不十分であるため、収入は常に不安定です。
ケガや急病などで休んだ場合だけではなく、台風などの自然災害で休みとなった場合でも、収入は減ってしまいます。
建設業界にも月収制を導入することで、労働者の収入が安定化し、不慮の事故や天候不順などによる収入減の不安を解消することが可能です。
若い労働力を確保するために、月給制への移行は早急に検討すべき課題であるといえます。
仕事上の価値観の変革
建設業界における人手不足の原因として、若者が建設業に良いイメージを持っていないことと、興味がないことが挙げられます。
若者の入職を促進するためには、イメージ改善を目的に、以下の取組みを行う必要があります。
- 建設業で働くことの「かっこ良さ」をアピールする情報マガジンの発行
- 小中学生向けに工事現場・建物の見学や、大型重機の試乗会の実施
- 建築現場の囲いに窓を作り、工事中の現場が見えるようにする
また、かつては現場監督やベテラン職人が若手を叱りながら、現場の技術を叩き込んでいました。
建設業は小さな油断が大きな危険に繋がる現場が多いため、ベテラン職人があえて厳しく接することで、技術と共に危険についても同時に周知できるという意味があります。
しかし、現代の若者たちは厳しい叱責に慣れていないため、先輩に叱られるとすぐに仕事を辞めてしまうケースが見られます。
そのため、従来の価値観や方法を無理に押し付けるのではなく、若者が持つ価値観に合わせた対応が求められています。
建設業・工務店の環境を新3Kに変えたいときは?
建設会社や工務店など、建設業の現場を旧3Kから新3Kに改善することは難しいと考える人は多い傾向です。
しかし、建設業の現場における新3Kへの改革は、決して難しいことではありません。
新3Kを実現するためには、業務の短縮化・効率化が必須です。
ICTツールの導入や、業務支援を提供している企業に相談することが有効な手段であるといえます。
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会社規模を大きくするためには、従業員の確保が必須です。
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まとめ
かつて建設業の「3K」といえば、「きつい」「汚い」「危険」が常識でした。
その結果、離職者が増え、若者の入職者は減少し、深刻な労働者不足に建設業は陥っています。
そこで、平成27年に新しく「給料が良い」「休暇が取れる」「希望が持てる」の「新3K」が、提唱されるようになりました。
その実現に向けて、給料水準の引き上げや労働時間の短縮化などが業界全体で検討されています。
また、人手不足の解消には、ICTを利用した作業の効率化や労働者1人当たりの生産性を向上することが必須です。
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