目次
ジョンソンホームズの川田です。
仕事をする上で社員に持っていてほしい「主体性」というものについて、これまでの経験をもとに紐解いてみようと思います。
社員が増えた時に感じる、会社の組織をうまく回せない難しさ
私が統括マネージャーに就いた当社は、まだ小さな組織でした。
全体の指揮を任されることになった私の理想の組織像は、「個人が自分らしさを発揮することができて、全体としても機能する、いわば学校祭のようなノリで社員みんなが楽しく働ける会社」というもの。
しかし、受注棟数、社員が増え、会社を伸ばすというステージに入っていくと、どうも組織としてうまく回らなくなってきたのです。
振り返ってみると、それもそのはず。
社員の主体性を伸ばせられているわけでもなく、任せるすべてを取り仕切っていた私自身が、自分一人ではコントロールできないことが増えていき、パンパンに膨らんでいた状態だったのです。
自分一人の情熱だけが空回りし、いくら説明をしたところで、なかなか思うように動いてはくれません。
「教えてあげているのに理解しない、レベルの低い社員」。
私は社員たちをそんなふうに捉え、不信感すら抱いていました。
ミッションが思った以上に社員に浸透していないのは、コミュニケーション不足にあった。
会社のミッションをつくった頃のことです。
社員にミッションが落ちているのかいないのか、某大学の教授(当時は准教授)と組んで実態を調べてみる機会がありました。
「社員のみなさんは、ぜんぜん理解していませんね。」
これはその時、教授から向けられた言葉です。
人が主体的に動くようになるには、自ら問いをもち、仮説を立て、それを実践してみて実感することが大事だということ。
そして主体性は、その人が話す量とイコールだということ。
加えて自分らしさを発揮して働くということに関しても、できているようで実際はそうでもありませんでした。
教授に教わったこの「主体性のメカニズム」、ここでは言い尽くせませんが、まさに目からウロコでした。
前回のコラムでふれた社員とのミッションミーティングは、実はこの学びをきっかけに始めたのです。
聞く側にまわることで、次第に社員に任せられるようになった
ミッションミーティングを通して、社員は思いのほかよく話してくれることがわかりました。
ならばもっと踏み込んでやってみるかと、業績検討会議をスタートさせ、社員が話す機会を増やしてみたのです。
月に一度、部署ごとに集まって開くこの会議では、私がインタビュアーで社員がインタビューイ。
1カ月の振り返りと合わせ、私の問い掛けに一人ひとり答えてもらうスタイルです。
業績検討会議の時は、社員が話し手になります。
私の役目は行動・結果に対して、褒める、あるいは意味づけをしてフィードバックすること。
業績がアップしたら「スゴイ!」と褒め、主体的に活動したことに「○○さんのおかげ、ありがとう」と感謝を伝える。
すると「次はこうやってみたい」などといった意見が出てくるようになりました。
その意見を聞くと、思いのほか、社員はちゃんと考えているんだなあという内容でした。
根っこのところの認識が共有されていれば、自分で話すことや質問に答えることをしていくうちに、考えが深まったり気づきが生まれたりして、彼らなりにその課題解決の糸口を見出しているんだなあと。
私はその考えに手応えを感じて、「任せる」となっていくわけです。
求めている成果と現実のギャップが埋まらなかったのは、実は当たり前だったのだなと気付かされました。
主体性の発揮が話す量とつながっていると考えると...、逆だったんです。
今まで、私の主体性ばかり上がっていた、ということや、自分は主役でなくて良いんだということに会議を進めていく中で気づいていきました。
主体性を発揮できれば、社員も会社も幸せに向かえる
業績検討会議を始めてから、5年目を迎えました。
現在はブランド・部署単位の経営会議、全社員参加のキックオフなども、話し合い、アイデアや意見を言い合うワークショップ形式で実施しています。
話すことが社員自身のパワーの源泉となり、主体性が高まっていることは明らかです。
また、自分の考えのもと主体性をもって仕事ができれば、それは社員にとっても楽しく幸せな働き方なのではないかなあと感じています。
私自身がいま思い切りやれているのは、その社員たちが会社の伸びを実現してくれたのを見て、自信をもてたからに他なりません。
社員が主体的に動き、力を発揮できる組織にしたいとお考えであれば、まずは話をさせてみることをお勧めします。
実践してみると、きっと驚かれるはずです。
人と組織が成長していくこと、そして自分自身も楽しくいられるようになっていくことに。