地域No.1工務店の人材育成術

楽しい会社づくり / モチベーション
2024年05月12日 by 小松 壮幹

目次

こんにちは、ジョンソンパートナーズ小松です。

今回のコラムは断片的な事例紹介ではなく、四国地方のジョンソンパートナーズ加盟店・S建設様の取り組みをマルっと紹介したいと思います。

S建設の実績推移

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最初にいきなりS建設の実績を紹介してしまいます。8年前はまだ20代半ばだったスタッフが「主力」へと成長し、地域トップクラスの工務店へと発展した要因を「人材育成・人材活用」の視点からご紹介していきます。

若手社員が会社に感じている心象・不満

本題に入る前にまずは一般論として、建設業に勤務する若手社員はどんな気持ちなのか、ネットで調べた情報をご紹介します。予想以上にネガティブな感情でいることに驚かされます。

① 職場で評価されていると感じられない

② 就労規則を軽視しておりプライベートに悪影響

③ 会社や経営者はお金儲けが目的の悪い印象。その仲間になりたくない

④ 同僚は仕事だけでつながっている赤の他人

ショッキングな話ではありますが、これらの要因を解消できれば、継続的に社員の育成が出来るとも解釈できます。たしかにご紹介するS建設様では、これらが解消される土台ができています。ひとつづつ解説します。

①社員が評価される環境づくり

資格取得の推進

S建設では、建築士や宅建士、コーディネーターなど難易度の高い資格はもちろん、ファイナンスや測量、断熱、保育に至るまで、業務に関連する資格取得すべてを推奨しています。資格を取得すれば手当が支給されますし、取得に向けての費用を助成したり、勤務中の勉強も容認しています。社長自身が資格マニア(失礼!)というのもありますが、資格を取ることで社内外での評価はあがり、仕事上の自信や信頼にもつながります。

また副産物として、色々なジャンルに精通する、いわゆる「多能工」スタッフが増えていきます。そうなると、少ない人数でも効率的に業務をこなすことができるようになり、スタッフ自身も業務範囲が広がり、自然と評価も上がっていきます。

ちょっと面白いものだと「バーベキュー検定」という資格をスタッフ全員が持っていて、引き渡し時やイベント時にバーベキューでお客様をもてなすこともされています。

報奨金制度

いわゆる営業インセンティブだけではなく、関わったスタッフすべてに行き渡るような仕組みとなっています。業種問わず「平等に」評価する社風なのは、いわゆる「裏方」的なスタッフのモチベーションにもつながっています。

また業績が良かった年は、全員均等に特別ボーナス的な「金一封」が社長より手渡されます。

勤続年数表彰

入社5年目、10年目、20年目と、スタッフを節目節目で表彰しておられます。その際に現金で「金一封」も渡されます。前述の特別ボーナス同様、金額の大小問わず、スタッフにとっては本当に嬉しいことです。まさに「会社に評価されている」と感じる瞬間なのではないでしょうか。

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②ブラックとは真逆の「ホワイト」企業

ホワイト企業認定

建設業に対する印象は決して良いとは言えず、「男社会」「寝ずに働く」「社員使い捨て」など、実態以上に悪いイメージがあります。S建設は古くから、女性や社会的弱者といわれていた人たちを採用・育成してきました。

2013年には四国で唯一の「ホワイト企業」に公式認定されています。一般財団法人「日本次世代企業普及機構」により、NTTや資生堂などと同等に《家族に入社を勧めたい、次世代に残していきたいダイバーシティ企業》100社に選ばれています。

実際に男女問わず、定時退社や休暇の取得が当たり前ですし、スタッフが安心して長く勤められる最大の要素です。

この後も数多く紹介するのですが、S建設の素晴らしさは、この「社長の情報収集力」です。あまり有名ではないけれど、メリットの詰まった「公式制度や資格」を見つけてきて、社員の生活を豊かにすると同時に、自社のPRや好感度UPに上手に活用、さらにメディアを使ってそれらを発信しています。

たいていの工務店では、社長もスタッフの一人として実務に関わっておられますが、S建設の社長は情報収集やとアウトプットなどの「ブランディング活動」がメイン業務です。それこそが社長しかできない最大の業務で、長い目で見て会社の発展に一番必要な要素なのだと思います。

業務のマネジメントを任せられる人材が居ることが前提ですが、前述した「多能工」スタッフが多く存在することで可能となっています。

社屋内の託児所

特に女性スタッフにとっては、「出産」が仕事継続の分岐点になり得ます。S建設では社屋内に託児スペースがあり、早期の業務復帰を後押ししています。仕事しながら子供の面倒を見ることができますし、前述したように保育士の資格を持つ社員もいるので安心して業務に取り組むことができます。

S建設では、その託児部屋をお客様用の「キッズスペース」としても活用しています。最初に「キッズスペース」があって二次的に託児所兼用としているのではなく、あくまで社員利用がメインです。結果は同じ事かもしれませんが、社員にとっては「大切にしてもらっている」と強く感じる部分です。また会社にとっても「休職期間を短縮できる」というメリットがあります。

社員大工

数年おきくらいに業界で話題になる「社員大工制」を採用した工務店の話は耳にしますが、継続して長期的にメリットになっているという事例を私はS建設以外に知りません。

ご時世がら「安定受注」が厳しく、大工を社員として抱える余裕がない事は明白ですが、S建設の場合は「本気度」が違います。

市の施策である「職業体験」などに始まり、外国籍の方も含めて学生の頃から「囲い込み」(表現が悪くてすみません)しています。地域の学校へのPRも常に行い、定期的に理系の高卒・専門卒・大卒を採用しています。待遇や環境を整備し続けることで、多くは退職することなく立派に大工や技術職として成長していきます。

つまり大工や社員を「募集」するのではなく、「発掘」し「育成」する仕組みを持っているのです。

「ホワイト企業」に認定されていて、安定雇用が担保されているというのは、若者にとって大きな魅力です。

余談ですが、「理系」を採用する背景は、「文系」を技術職に育成するのは難しいが、「理系」を営業職にすることはメリットが多いからだとか...社長、慧眼です!

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③悪いイメージとは程遠い「地域貢献企業」

地域貢献

大人になれば、利益がないと企業は存続できないし、自身の給料も払われないことを理解しますが、若い時は「金儲け=悪」とイメージしがちです。しかし、わかりやすい「地域貢献」という形で利益を還元していれば、従業員もそれを誇りに感じて「会社愛」が深まります。

S建設では、地域の清掃活動、テニス大会の主催、地元サッカーチームへの協賛、サンドイッチ屋さんの運営など、書ききれないくらいの地域貢献活動を行っており、スタッフ全員でそれらに取り組んでいます。

スタッフにとっては、地域の人や団体に大いに感謝され、また見聞を広めることにもつながります。建築のお客様以外に、地域の人々にも「ありがとう」と感謝されることは、地域愛が深まり、仕事へのモチベーションを大いに高めます。

健康経営

S建設は2020年に「健康経営優良法人」いわば「健康企業」の認定を受けています。過去に大きな病気をした社員がいたこともあり、現在は「年2回の健康診断」を義務化し、また「自転車通勤」を推奨しています。社員の健康を守り、同時に環境貢献にもつながる取り組みを継続しています。

県が定める「自転車用ヘルメット着用推進の優良事業所」の認定も取得し、社屋敷地内には社員用の自転車置き場も整備されています。

中核産業人材確保支援制度

S建設では、県内産業を支える学生の県内定着やUIJターン就活を促進する「中核産業人材確保支援制度」へ登録・認定されています。学生がこの登録企業に就職した場合に、基金を使って奨学金の返還を助成する制度です。

今や6割の学生が奨学金を使っている時代です。最大7年間、奨学金年間返還額の一部を県が助成してくれるので、就職先として有利に働くと同時に、地元産業に貢献する企業としての最大のPRになっています。

このような取り組みは、新聞や雑誌、地元のテレビ局でたびたび紹介され、好感度も知名度もどんどん上がっていきます。

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④同僚は仕事仲間であり友人

仕事帰りや休日に、友人とスポーツなど趣味を楽しむ時間を最大の幸せに感じる方は多いと思います。しかし建設業界だと週末は仕事だったりで友人と疎遠になりがちです。そして趣味を楽しむ時間が減っていき、悪い意味で「仕事人間」化してしまいます。

S建設は、社長自身がテニス・ギター・釣り・料理など多趣味なこともあり、小さな企業でありながらいくつもの「部活」が存在します。しかも運営費の一部を会社で負担することもあります。

代表格は「写真部」。発足当時は数名が互いに写真の出来を見せ合う程度でしたが、徐々に部員も増え、今ではプロ並みの写真を撮影する社員がたくさんいます。

地元銀行とのタイアップでロビーの一角で写真展を開催したり、本格的な大会に参戦したりと積極的に活動されています。前述した「自転車(通勤)部」など他の部活も同様です。

同じ趣味を持つ仲間・友人が社内に増えて、部署を問わずにコミュニケーションが活性化していくという好循環につながっています。

会社にとってのメリットは、例えば写真部であれば、広告用の素敵な写真をプロに頼まずに内製化できることだったり、写真展を通じて、銀行や展示会場との関係を深めることなどにつながっています(だから会社が運営費を負担できる)。

また部活に限らず、イラストが得意なスタッフが、自社で経営するサンドイッチ屋さんの看板デザインをつくったりと、社員の特技や趣味を経営に活かすことで、社員の会社愛を醸成しながら、同時に経費の削減や協力企業の獲得、さらにはPR活動もできています。

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⑤FC加盟と活用

これまでご紹介したS建設の取組は、ジョンソンパートナーズへのFC加盟前から実施していたことも多くあります。しかしながら、スキルが高く最高の人柄のスタッフを多く抱えていることが、そのまま業績に直結するかというと、残念ながらそれだけでは足りません。

決して"私たちジョンソンパートナーズの商品がいいから業績が良くなった"などと自慢する気はありません。FCへ加盟する最大のメリットは「会社やスタッフがさらに輝くためのプラットフォームを提供すること」だと思っています。会社愛が強いほど私情が入り込み取捨選択を誤ることもありますが、そこにFCという「第3者の客観的な視線」を入れることで、会社の"本当の強み"にフォーカスしてさらに伸ばすことが出来ます。

規格商品の導入

例えば、S建設が加盟された「COZY」という商品は、いわゆる「規格住宅」です。加盟前は何でもこなせる「多能工」スタッフが、営業・設計・工事と一気通貫で、自由設計の唯一無二の住宅を提供していました。しかしFC加盟後は、多能工スタッフで1つのチームをつくり、営業・設計・工事・コーディネーターとそれぞれの職種に専念するスタイルへと変えました

お客様の立場で考えても、技術的な知識を豊富に持っている営業担当、お客様の気持ちを柔軟に汲みとってくれる設計担当、近隣への配慮をかかさない工事担当、色の提案だけでなく空間すべてを素敵にしてくれるコーディネーターがチーム一丸で対応してくれるなら、こんなに心強いことはありません。唯一無二の自由設計住宅ではなくても、最高に"自分らしいお家"が出来上がっていきます。

培ってきた社風に、実績のあるFCシステムを上積みすることで、それまで果たせなかった生産性や利益率の向上につながり、ご紹介したような地域貢献活動や部活に費やす時間を捻出することが出来ました。会社としても、さらなる社内のインフラ整備、経営の多角化等に取り組めるようになり、知名度や好感度がさらに高まるという好循環のサイクルがどんどん形になっていきます。

ミッションづくり

また3代目へ事業継承を実施するにあたり、「ミッション(社訓)」のリニューアルを全社員とFC本部合同で行いました。ジョンソンホームズのミッションも参考にして、ご紹介した沢山の素晴らしい取り組みの目的や意義を整理・明文化しました。

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全体会議等を通じてスタッフ全員にミッションを浸透させ、また積極的に外部へも発信することで、社員の価値観の統一と他社との差別化を推進することが出来、より強固な組織に変貌していっています。

まとめ

S建設をご紹介することで最もお伝えしたかったことは、人材募集や社員育成などのスタッフへの投資や社内インフラの整備は、社員のためでありながら、やり方次第で会社のPRや好感度UPの材料にできるということです。

仮にそういった社長の(裏の)思惑に社員が気付いていたとしても、社員自身のためになることですし、職場がよりいいものになるのなら喜んで協力してくれます。

つまり社員の育成は、外部講師を頼ったり、特別な機会を設けて行うよりも、日ごろの環境整備や公的制度を活用することで充分に育成基盤をつくることができるということです。

S建設の社員育成ポイント ※( )は結果的な会社のメリット

① 目に見える形で社員を評価し、感謝を伝える(長く働いてもらう秘訣)

② 「ホワイト企業」認定と社内インフラの整備(社員の会社愛を醸成)

③ 地域貢献活動で社員のモチベーション向上(会社の知名度・好感度UP)

④ 社員の趣味を会社で後押し(趣味や特技を会社運営に活用)

⑤ FC加盟と活用(会社の強みをシステム化し業績に直結させる)

セミナーのご案内

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