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就職してはみたものの「仕事がきつい、辛い」と悩む若い社員に相談されたとき、
「仕事は辛くて苦しいのが当たり前。歯を食いしばってそれに耐えてこそ一人前だ、と叱咤激励している」
このような一昔前の日本の育て方をしている上司・先輩や親の話をよく聞きます。
しかし実は「辛くて苦しい」どころか、「社員が仕事を楽しむ経営をしているからこそ成長している」という会社が今は増えてきています。
社員が仕事を楽しむ経営こそ「企業の成長」となった話。
作家、村上龍が日本のユニークな成長企業を紹介する「カンブリア宮殿」という番組。
テレビ東京系で毎週放送されています。
この番組で紹介される企業は、「社員が仕事を楽しむ企業風土の会社」が多いのが特徴です。
この番組で実際に取り上げらえた福岡県の「ハローデイ」というスーパーの話を例に挙げてみましょう。
倒産寸前から一転、優良企業へ変身した「学園祭」のようなスーパー
このスーパー「ハローデイ」は、赤字続きで一度倒産の危機に直面していました。
なんとかしようと現社長が孤軍奮闘し、店を回って改善点を見つけては手を打ち続け、なんとか黒字に。
しかし、その頃から次々と社員が辞めていくようになりました。
この原因は、社長の経営スタイルの問題にありました。
会社を立て直すために必死だったからとはいえ、改善点を見つけて手を打つやり方が、まるで「粗探し」のように、悪い点を挙げて改善させていたのです。
「粗探し」から「良いところを見つける」へ
社員が次々と辞めていく現状に対し、社長は今までの方法を見直し経営スタイルを転換しました。
粗探しではなく
「良いところを見つけて従業員を褒める」
「仲間と一緒に楽しく商売をしたい」
「売上げではなく日本一働きたくなるような会社にしよう」
このように改心したのです。
現在、ハローデイの店内はまるで「アミューズメントパーク」。
店で働くパート従業員が中心になりアイデアを出し合って、まるで学園祭のように楽しみながら飾り付けを行い、来店客をもてなします。
倒産寸前から改心し、経営スタイルに転換した後、 ハローデイは20年以上増収増益を続ける優良店へ変身しました。
これはほんの一例です。
実は、社員が仕事を楽しんでいるからこそ成長しているという会社はとても多いです。
社員が「仕事を楽しむ」ために、会社が必要な要素4つ
笑顔は人を幸せにします。
社員がびくびくと仕事をするよりも、笑顔でイキイキと仕事をしていた方が会社の雰囲気は間違いなく良いです。
さらに、同じ商品を買うなら、サービスを受けるなら、笑顔で接客をしてくれる人からにしたい、と思うのは自然な感情でしょう。
そこで、社員が「仕事を楽しむ」ことができる経営をするために、考えるべきマネジメントの要素をまとめてみます。
自分の考えを反映できること
スーパー「ハローデイ」の事例でも、「従業員がアイデアを出し合って」いたように、自分の考えを運営に反映できることが必要です。
成果を確認できること
「こうしたほうがうまく行くのではないか?」と考えて行った工夫について、その成果ができるだけ早く確認できたほうが良いのも言うまでもありません。
見守る目があること
上司や同僚がメンバーの努力に気づき、勇気づけるような姿勢で接することです。金銭的インセンティブよりも日常的なコミュニケーションが重要です。
ミッションが共有されていること
従業員の提案を採用すべきか否かについて簡単に判断がつかないような時は、会社のミッションに照らして考えなければなりません。
そのためには「わが社はどのようなお客様にどのような価値を提供するのか?」というミッションが全社で共有されている必要があります。
社員が楽しむ経営こそお客様も楽しめる
「目が笑っていないよね」と言われてしまう、「作り笑い」。
お客様に気持ちよく過ごしていただける接客をするために必要な「自然な笑顔」は、本当に楽しんでいなければ出てきません。
これには、人の筋肉のしくみが少し関係しています。
人間は、「自分の意思で動かせる筋肉」と「自分の意志で動かせない筋肉」があり、感情が表れる目の周りの表情筋は、実は「自分の意思では動かせない」筋肉が多いのです。
楽しくないのに笑顔を見せようとしても、目の周りの表情筋は動きません。
人は、本当に楽しんでいなければ、自然な笑顔は生まれないのです。
社員が楽しんでいるからこそお客様も気持ちよく過ごしていただけるのです。
まとめ
現代の仕事は、日々「細かな改善」の連続です。
改善アイデアの多くは、現場の社員が考えるもであり、社員が仕事を楽しんでいるからこそ良いアイディアが生まれてきます。
その社員たちこそが、会社を強く優良企業へと成長させてくれるのです。
社員が本気で仕事を楽しんでいる姿こそ、お客様が気持ちよく過ごしていただいている結果に繋がっています。